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生きるというフシギ
気が付けば 私は広い広い野原の真ん中にいた そこには空気と水と自然とが 反駁することなく見事に調和していて ここはどこだろう??なにか懐かしい… そうだ ここは、私が昔家族と行った尾瀬だ 誰もいない病院のベッドで目を覚ました 真夜中の冷たい病室だ 私はもはや野原にはいない 全身に重い違和感を感じた ああ 思い出したくなかった 今はこの管が無くては生けていけない 身体中に否応なしに突き刺さる このチューブの夢を見た いつか私の体は穴だらけになって どくどく辛い薬が流し込まれる 誰か助けてってボタンを押しても みんなそれをじっと見ているだけ かわいそうだねって みじめだねって ねえ そうなんでしょ そうなんだよね 私にはもはや 泣くことしかできない 不自然に送り込まれた栄養を 自然な涙に変えることしかできない わたし なんで生きているんだろ もう、死にたい もう、死んで、それで楽になれるし もう、迷惑はかけたくないし 迷惑は… でもまた日は明けてしまった その日、1回も話したことが無いクラスメイトが 突然やってきた 心配でしょうがなくて、来てしまった ごめんね、なんか、友達じゃないのに… だって なんだそれ なんなんだよ、それ… 彼女が持ってきた梨を食べながら 彼女の言葉を反芻した ごめんね、なんか、友達じゃないのに 心配で、しょうがなくて、来てしまった 友達じゃないのに 友達じゃないのに?? 私は、何故かおかしくてたまらなくなり 病室で突然笑いだした 腹に繋がれたチューブが激しく揺れ まるで私に共鳴しているようだった あーあ…わけわからないな わけわかんないわ 今日も明日も、絶対頑張って生きてやる
生きるというフシギ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1237.5
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 7
作成日時 2020-11-09
コメント日時 2020-11-13
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 7 | 7 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最後の宣誓のような意地のように放たれた一文がどこかオチのようにも感じました。こう来たか!という。 尾瀬から病院内での目覚めへのつながり具合が性急な飛躍のようにも感じました。夢で見た尾瀬での出来事でもう少し続いていればとも思いましたが、ある一定のイメージがあるであろう実在する尾瀬という美しい場所への反転の仕方、生死、病による非情な切断を思わせるようで悪くはないのかもしれませんが。 友達ではないクラスメイトの登場がなかなか効いた作品ですね。
0*追記になります 睡眠が軽度の死であれば一連の夢に死ぬ状態、二連の病に生きる状態という現実の流れがフシギです。
0ありがとうございます!!そうですね。明るい終わりにしたいという気持ちを込めて最後のひと文は書きましたね。
0おざきゆさん こんにちわ。コメント有り難うございます。「生きると言うフシギ」生きると言うことの本質がとてもよく表現されていて、人の心ってこうありたいなと思いました。入院されている、或いはされていたのはおざきゆさんですか?それなら更にお元気になって下さい。
0いえっ。入院したことないし、ぼくの完全なる想像です。でも、実は想像をしてるのはぼくだけじゃなくて、この話の語り手はずっと意識がなくて、この話自体の全てが語り手の夢の中という意味で作ったんです。よく見ていただくとわかると思うんですが、腹に、胃ろうが繋がれているのに普通に喋れたり梨なんか食べてるっていうことが変ですからね。だからこの話のキーみたいなクラスメイトの存在も語り手の夢の中の想像にしか過ぎないんです。生きるってフシギですよねっ!
0死んだ方がマシだと思うこと、何が何でも生きてやると思うこと、相反する二つの、でもどちらも素直な同じ人の中にある思いであること、それを、友達じゃないクラスメイトがとても自然に繋ぎ合わせていると思いました。 不思議な、自然な、人間ってこうだよなって思わせてくれる詩ですね。
0ありがとうございますっ!伝わっていただけたようでよかったです!
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