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tabacco
この話を聞いたら君は前に僕から同じ話を聞いたよって言うと思うよ? ほとんど同じ話だよ。話に出てくる女の子の名前が違うってだけでね。 美人な女の子がタバコを吸って道端に捨てていったっていうだけの話だよ。そう、かかとで火も消さずにね。 女の子からひどい仕打ちはたくさん受けて来たけれど今回ばかりは立ち直れそうにない。 こんなひどい仕打ちは初めてだから。 またこの恋も無駄に終わった。そのくり返し。もう学ぶものなんかないよ? 彼女は「さよなら」とは言わずに「またね」って言ったんだ。 その言葉にどれだけの価値があるかを知っていたんだ。 もう恋に落ちることなんかありえないよ? これで懲りたんだ。もうこれでおしまいだよ? どうせまた同じことのくり返しだから。 そう、それはタバコのようにね。 欲しくて欲しくてたまらないけど、吸いつくしてしまえば、空虚。 彼女は僕の最後の一本だったんだ。 僕は彼女にとって箱のなかの一本に過ぎなかったんだけど。 ずっと前に僕の人生から消えたはずだよ? なのに、どうして?まだ彼女は僕の皮膚の下に居座るのさ? かつては彼女のすべてが大好きだったよ 彼女は男の子を楽園まで操縦するのが上手なんだよ。 いまは彼女のすべてが大嫌いなのに どうして僕のアタマのなかでハンドルを握るのさ? またこの恋も無駄に終わった。そのくりかえし。もう助けてもらうこともないよ? 彼女はいつも違う男の名前をちらつかせてたんだ。 どんなわがままを言っても男の子たちからお姫様のように扱ってもらうためにね。 トーナメントの一番上に彼女のベッドはあるんだ。 もう恋に落ちることなんてありえないよ? これでわかったんだ。もうこれで自分を見失ったりしないよ? どうせまた同じ快楽と痛みを味わうだけだから。 そう、それはタバコのようにね。 白い煙の雲が僕のアタマを犯して黒い雨を降らせて僕の領域を支配していくんだ。 僕はもう火をつけるのを必死にやめようとしている。 彼女は次の一本、また次の一本と火をつけて歩くんだ。 そう、かかとで火も消さずにね。 お店で働いている19歳の女の子にケーキをプレゼントしようとした老人を見たんだ。 もらってもらえないからと道に叩きつけて踏みつぶしてたんだ。 それもその女の子の目の前でさ。 僕もいつかあぁなるんだろうか? ぐしゃぐしゃになったケーキの箱を開けてみたら 潰れたてのピュアな恋が6個入ってたんだ。 笑いが止まらなかったよ。我がことのようでね。
tabacco ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1287.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2020-10-31
コメント日時 2020-11-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文