別枠表示
きざし ver.2020
あのシャツは根雪になった。 この頃ずっと、空のからっとした嫌味。 それでも草原の上に積もったまま、 しんしんとみずから埋もれて。 感情を持て余すケトルの音。 気体になり損ねたいやにしたたかな結晶を、 ひとつ、またひとつ、つかんでは。 とげとげしいかたちを揺り起こし、 てのひらをやさしく刻むように。 アネモネの人はもういない。 致死域だった日、舞い落ちた花弁。 アネモネの人は輪郭を失った。 花脈をかたどった雪洞だけが、 営みの重さから逃れられない。 縒れきった風体は、なおも沈む。 積もり続ける停滞の鋭さに、 廻りなどとうに瓦解した。 ずっとおよばない恒星の面で、 ほんとうの芽吹きが渦巻いている。
きざし ver.2020 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1523.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 3
作成日時 2020-10-14
コメント日時 2020-10-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一さま、いつもコメントありがとうございます。 感想、とても嬉しいです。 私生活が立て込んでおりましてライトレスで申し訳ありませんが、取り急ぎ。 また返信させていただきます。 励みになるコメントをありがとうございました。
0沙一さま、いただいたコメント内容への返信が遅くなり申し訳ございませんでした。 改めて、感想拝読しました。 >改稿前の『きざし』と比較しながら読みました。私はどちらかというと改稿後のほうが好きです。 わざわざ前バージョンまでご覧くださったということで、大変うれしく思います。 全体としてちょっと重くなってしまったかなという杞憂がありますので、以降の相対的な評価は非常に参考になります。 >さいごの「ほんとうの芽吹きが渦巻いている。」に、タイトルの『きざし』とつながる春の予感がするようでいて、その直前の「ずっとおよばない恒星の面で、」という詩行から、それはどこか遠くをながめている視座であるように感じられました。 拝読していて、指先からしびれるような感覚がしました。ありがとうございます。 改稿による言葉とイメージの取捨選択によって出来がどう転んだかは私自身には評価が難しいところでしたので、投稿してよかったと感じています。 参考になるコメントをありがとうございました。
0