つまらないと思います - B-REVIEW
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ことばという幻想

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つまらないと思います    

ぼくが思うにこれら一連の手紙のやり取りには手紙ゆえの行き違いがあり、ぼく自身もまた読み込むことを拒んだ面があることは言うまでもない。 〈中略〉 拝啓 いかがお過ごしでしょうか。ぼくは元気です。 どうか、これを読んだら焼いてください。 もしくはトイレにでも流してください。つまらないと思います。 ぼくの気持ちを言葉にすることは容易いけれど、ぼくの気持ちを伝えるのは不可能です。そう知りつつもペンを持った次第です。 さて、この頃はマスクの紐で痛くなった耳の裏を気にしながら、人の死を眺めたりして過ごしております。 ゆっくりとロードローラーに轢かれていくような日々です。 最近は涼しくなりましたね。夜なんかは寒いくらいです。寒い夜の月明かりは感傷的でぼくは嫌いです。風が身体をすり抜ける感覚が鋭く身に染みて秋が来たのだと感じています。 手紙を書くのは久しぶりなので何を書いたらいいのか、』?. ㄇ!ㄈしㄉㄊうごとにㄋㄌがあなたらしくㄍㄎㄏㄐㄑるㄒㄓㄔご連絡も差し上げずㄕㄖㄗㄘんㄟ゛ㄙㄚㄛㄜㄞㄞㄟと思います。 敬具 追伸 あなたからの手紙の半分は燃やしました。よく燃えました。もう半分はトイレのちり紙として使いました。 追伸の追伸 あなたの手紙に書かれた言葉。「きみは変わったんだね」とはどういう意味だったのかわかりませんでした。在りし日を偲ぶあなたは今何を思うのか。そんなことを考えながらあなたが乗り移った綺麗な字を一字一句を逃さないように入念に燃やしました。そして、入念にクソ喰らえしました。ご安心を。そして、どうかお元気で。 これを最後にぼくらのやりとりは終わった。最後にあなたがくれた手紙は読まずに食べた。 今にして思うとぼくは若かった。意固地になっていたと思う。意地悪でちっとも悲しくないのに月明かりが嫌いだとか、風に秋を感じたなどと書いたりしてあなたを困らせてばかりだった。 〈中略〉 だから、最後の手紙は食べた。少しも美味しくない手紙を食べた。故にトイレにこもっている。 ここで落書きは終わっている。 意味のない言葉の羅列が多く一部省略させてもらった。 落書きは一人の人物によるものなのかは定かではないし、そもそも私の読む順番が正しかったのかもわからない。私が読み飛ばした箇所に何か意味があったのかもしれない。 何にせよ、 つまらないと思います。と 書き足して私は便所を出た 月明かりの下で 虫の音が寂しく響く 深夜の公園の便所は 皓皓と光っていた



つまらないと思います ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 4
P V 数 : 1689.3
お気に入り数: 2
投票数   : 0
ポイント数 : 14

作成日時 2020-10-04
コメント日時 2020-10-08
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性21
可読性32
エンタメ42
技巧21
音韻10
構成22
総合ポイント148
 平均値  中央値 
叙情性00
前衛性0.71
可読性11
 エンタメ1.31
技巧0.71
音韻0.30
構成0.71
総合4.75
閲覧指数:1689.3
2025/04/11 01時45分51秒現在
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    作品に書かれた推薦文

つまらないと思います コメントセクション

コメント数(4)
やめました
作品へ
(2020-10-07)

面白かったです。ちょっとした短編のような。 追伸で半分手紙が燃えて、もう半分はちり紙として使い、追伸の追伸で一字一句逃さずに入念に燃やし、クソ食らえするというある意味矛盾しているようで正しいクソ食らえの使い方を見させて頂いた気分です。 最後に食べてしまうのは山羊さんたちのお手紙みたいで可愛いですね。不器用な感じ。それともこのやりとりは本当に2人でやってるのか、それとも1人でやってるのか(過去か未来の自分?多重人格?)という気もしてきました。 それらのやりとりを最後につまらないと書いて出て行く第三者というオチがきちんとつけられていて良かったと思います。

1
入間しゅか
入間しゅか
やめましたさんへ
(2020-10-07)

読んでいただきありがとうございます! ちょっとした小話みたいな作品ですが楽しんでもらえたようで嬉しいです。 ありがとうございます。

0
楽子
楽子
作品へ
(2020-10-07)

すごい好きでした! とてもあっさりしてるけど、 二人の間にあったつながりと、 関係が終わるときもたぶんちょっとだけ二人らしいかんじが可愛い。手紙に書かれた通り燃やしたり、糞食らえされてお腹を壊しちゃったりして、お互いにとってお互いの関係にふさわしい終わりかたをしているのかなあ、と感じました。 そういう二人の関係をまったく知らない第三者が突き放してしまうかんじなのもいい。 最後の詩は、文中の言葉を浮かべてくすりときました。 最初から最後まで同一人物説とか色々考えましたが、そうやって解釈して楽しめるのも魅力ですね。 ユーモアがあってベタついてなくて、 この季節にぴったりの詩でした。

1
入間しゅか
入間しゅか
楽子さんへ
(2020-10-08)

読んでいただきありがとうございます! 二人の関係性について深く読み取ってもらえて嬉しいです。 第三者の視点もこだわったとこなので触れてもらえてよかったです。 ありがとうございます!

0

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投稿作品数: 2