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私が欲しかったもの
スポットライトのような光を落とす月。 その光に誘われるように、私の乗る舟はゆっくりと進んでいく。 ゆらゆらゆれる波間に、散り散りに連れていかれる紅葉。 その光景を、静かに見つめる細木たち。 まるで見送られてるかのような気持ちになる。 人の気配はなく、聞こえるのは波と風のささやきくらい。 あとは、フクロウの寂しげな歌が聴こえてくる程度だ。 ーそう、ここには自然と私しかいない。 どこを探してもきっと、こんなにも静かな夜はない。 ここは唯一の安らぎだ。 満身創痍の躰を癒してくれる。 ーああ、本当に気持ちがいい・・・。 ずっと前から、この夜を待ち望んでいたような気がする。 乞い焦がれてた。 きっと、ずっと欲しかったんだ。 心の落ち着ける場所が。 自分のいて良い場所が。 口では強がっていただけなんだと思い知る。 これが、私の欲しかったものなんだ。 たとえ「一人」でも、「独り」ではない場所。 ・・・ざわざわと葉のこすれる音がする。 その音の中に、小さく、それでも確かな声を聞いた。 「もうお前は、これで生きていけるだろう。」と。
私が欲しかったもの ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 959.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-10-01
コメント日時 2020-11-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
風景のイメージも相まって、とても綺麗な詩だと思います。 ただ、語り手が本当に一人でいいのだと思える、その説得力がやや足りないかなと感じてしまいました。そこは読み手の私が想像で補うべきなのかもしれませんが。
1コメントありがとうございます。 ・・・なるほど、勉強になります。
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