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桜花或いは梅に抱かれ肝臓散る
白昼夢 季節外れのホワイトアウト 爆ぜる麦わら帽子 汗ばむ雪だるま 梅か桜か 君はどちらだ? 喚く駅前街宣車 沈黙の交番と裁判 その色に その花弁に 僕は涎を垂らし 君は内臓を垂らす 春は時計の針が狂うと誰かが云う 夏は時計の針が歪むと誰かが 秋は時計の針が折れると 冬は時計の針が 訪れた某季節 プールサイドのスリーアウト 温かな塩素水はスケートリンクに変換され 人々は鋭い脚先にて 彼の仮面を切りつける 水面下或いは形而上 仮面の底の底の其処 見つけたいのはそう 公魚 かささぎ 少女の遺体 脱ぎ捨てたサンダル 彼女が飛びこんだ何時かの風景は ハリスシャッターに染まる大人に犯された 明日はきっと吹雪だから 明日にはきっと散ってしまうから 僕らは自らの視覚よりも レンズ越しの風景に取り憑かれる 枝垂れ桜の先 膨張する心臓のような赤 爆ぜる刹那のスケッチを描く前に すでに死んでいる感性 すでに死んでいる肝臓 画面の向こう 弦のないギターを抱えた男 睦月に紅白 ささくれた爪の間の間 お茶の間の眼前で当て振りをするのは もう、うんざりしたんだって 世界の終わりと始まりの季節 碧い梅も翡翠の海に浸る 行商人のダガーナイフ 乾ききった鱒を刻み 諭吉を殺す 青少年のバタフライナイフ 乾ききった心を殺し 誰を刻む? 海辺の可不可 波打ち際のスニーカー濡れて 虚ろな午後に 俯く午後に 裸のランチに手錠と発泡酒 空きっ腹に酒 飛行機雲も視えなくなって 墜落する人生を酔いつぶし 酩酊する人生に斜陽を落とす
桜花或いは梅に抱かれ肝臓散る ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 826.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2017-08-13
コメント日時 2017-08-19
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
麦わら帽子と雪だるま、梅に桜・・・季節が一気に押し寄せて来る感じですね。 〈僕は涎を垂らし 君は内臓を垂らす〉この一行に、まずびっくりです。 春夏秋冬と、一気に季節(への夢想?)が駆け抜け・・・。 どこかの季節、どこかの時間に、じっととどまっている、という感覚ではなくて、 季節の記憶の断片、写真画像が無数に散らばっている、そんな世界を駆け抜けていくような疾走感を感じました。 少し、ついていくのが大変、というくらい、目まぐるしい印象がありました。
0まりも様 コメント頂き、ありがとうございます。 (僕は涎を垂らし 君は内臓を垂らす)は、この詩に於ける(僕)にとって、見えるものが夢幻的であるということを強調したかったという意図があります。 季節が呼び起こす風景をコラージュというか思い浮かぶままに嵌め込んだので、確かに目まぐるしくなってしまったような気がします。もう少しテンポを落としても良かったのかなと。
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