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炎天とカブトムシ
炎天、アスファルト、日向に溺れるカブトムシ 俺はそいつを日陰に運んでやることしかできなかった 暑い暑い暑い夏 命の盛りではあるけれど べつに、とくべつ命を慈しむわけでもないのだ 膨らんで 萎んでを繰り返す腹と 小刻みに上下する背中 開きっぱなしの口で震える毛束のような器官 それらは、人間と少しも変わらなく見えた もはや手足を動かすこともなく 微かに生を示す生理的活動 それを死ぬまで見続けるのも浅ましい気がして その場を後にした 自分の息が荒いことに気づいた 帰り道、日陰をのぞいてみると そいつは動かなくなっていた 持って帰ってやろうと、そっと持ち上げると わずかに足が蠢いた いずれにせよ長くはなかろうに、俺はなんだかほっとして 空は高くそっけなかった
炎天とカブトムシ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1231.9
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-08-14
コメント日時 2020-08-22
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
作者の他の作品を読ませて頂くに、色んなスタンスを試しておられるのかなという気がします。 内容に関しては、私の読解力がないのか、作者の方と感覚が違い過ぎるのか、それとも説明が不足しているのかわかりませんが、初めのうちは読めば読むほどよくわからなくなりました。「命を慈しむわけでもないというポーズをしながら結局は心を寄せてしまう心優しいオレ」みたいなとても陳腐な視点に読めたからです。 が、時間をかけるうちに、そうではない読み方ができるような気もしてきました。 最初はポーズに見えていた「命の盛りではあるけれど べつに、とくべつ命を慈しむわけでもないのだ」が、心底真実であるという可能性に思い至ったとたんに、そこがこの詩の核としてすごく力を帯びてくるように思いました。周辺の、カブトムシを思いやるような自然な物言いと相まって、この世で自然体であることの冷淡さが押し寄せてくるようでした。少なくともそう読むことができそうだと思いました。 どういう意識のもと書いておられたのか気になりますが、野暮ですかね。あまりにも筆致が平板なため、読み飛ばしてしまいかけました。 「自分の息が荒いことに気づいた」、「空は高くそっけなかった」は今もよくわかっていません。意図された飛躍か、ありがちな文で雑に纏められてしまった結果か。 私の感覚からすると説明が少なく、読みにくかったですが、他の方の印象も聞いてみたいです。コメントがつけばよいのですが。 長々とまとまりのない文章ですみません。このコメントを少しでも何かしらの参考にして頂ければ幸いです。
0べつに、とくべつ命を慈しむわけでもないのだ と、いうのが本当なのだとしたら何かが足りない。カブトムシを運んだ後、二連でその場を立ち去るわけだが、その空白の時間にカブトムシ所やないという理由があったのかもしれないですね。そこであったことが三連目の心境に至るような出来事だとしたらそこを描く必要を感じます。
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