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いち、にの、さーん
ここだけの話をそこかしこでする私は、「逆上がりできたらキスしてあげる」と言われ、東京ドーム3杯分ぐらいの愛に溺れたまま世界を逆さまに見た。この子と、とびきり寒い日に花火でもしようと誓った。 昔からコツコツは苦手だったのに、欲ばかりジェンガみたいに積み上げた。足下が弱くなっている事に気付かないフリをして、それが元々なんだったのかも気にもせずに、また上に積み続けた。 例えば、私の言葉で救われる人がいる事を私自身が知った時。今まで純粋にかけてた言葉が優しき偽善者に思えて辛くなる。そのくせ、人からよく思われたいからやめられない。 アリの巣に竹馬で突っ込んで蹂躙していたあの時は、心だけはまだ汚れていなかった。天気予報のために天に放ったサンダルを置いたまま裸足で帰った時も、一人で感じる優越感が好きだっただけで、手を繋いで「いっせーの」でゴールするかけっこで少しだけ早く足を出す。とかそのぐらいで満足していた。 足の裏はちょっぴり痛いけど、思うようにできない辛さに比べたら雲泥の差がある。食べやすさだけが美味しさだけではないと知っているのに、わかりやすさだけが売れるのはなんでだろう。後天性慢性仮病症候群とアル中を無神論者のくせに神頼みで治そうと思う。
いち、にの、さーん ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1973.6
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-07-02
コメント日時 2020-07-27
項目 | 全期間(2024/12/31現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
入りの1、2文がとても好きです。 素敵な情景だなと感じます。 大人になって不純になったのかといえば実は以前から少しずるくはあり、それを今も変わらずに苦く思っていて、ずるさが増した分だけその苦さをさらに感じる。 そんな心象が書かれているような気がいたします。
1かずや様 お読みいただきありがとうございます。 また好きな部分を言っていただき嬉しいです。 やっぱりずるいかどうかって 対価があるのかどうかだと思うんですよね テーマ的にはそんなに重めに書くつもりは無かったので思い出のように書かせて頂きました。
1アリの巣に竹馬で突っ込むと言うのは風車に特攻するドン・キホーテみたいで、詩的韜晦とは思えませんでした。心のピュアさ。独りで感じる優越感。この詩で語られているのは詩における勇気、神の存在、新たな宗教の予感などだと思いました。
1「対価があるのかどうか」 確かにそうかも知れません。 参考になります。
1エイクピア様 お読み頂きありがとうございます。 詩に感じるところは 受け手の自由だと思いますので かかる神の存在もあるかもしれませんね。 ただ私としてはそんな大きなスケールの話ではありません。 個人の誰しもにある人生の帳尻合わせがちょっとぐらつく程度の些細ないたずらです。
0とても好みの詩でした。 こういう詩の良いところ、をあげるのはとても難しいですね。 まず、入りの二行が素晴らしいし、そこからラストまで飽きさせることなく、破たんすることなく読む者を惹きつけることができる、という点で抜きんでていると感じます。 この詩の中でもちいられている「足」というのは、世界との接着面としての役割を持っているのでしょうか。 世界(他者)に対して、着飾る必要も迷う必要もなくあるがままに接していたこと。 私も父親から「お前はもう少し素直な人間になると思っていた」と言われた時ほど自らを恥じたときはありません。 ラスト三行 上半身にのしかかったたくさんのもの、を 誤魔化し、なんとかなんとか生きていくことができるのが大人なのかもしれないですね。
1楽子様 最後までお読み頂きありがとうございます。 「足」については 特に狙ったものではありませんでした。それが故に、そういう捉え方もあるのかと感動しています。 確かに幼い頃は地に足ついてたのに 歳を取る事にジェンガを積み上げ、最後には上向いて神頼みしてますからね。 だからこそオープニングで地を思い切り蹴って一回転したのは意味がありました。 自ら書いたものながら新しい感性を得られました。 ありがとうございました。
0なんとも素直な表現でリラックスして読めました。出来ないことは出来ないと、出来ることは出来ると言うのは結構勇気が必要ですね。ともするとカッコつける。気をつけます。
1戸ヶ崎朝子様 お読みいただきありがとうございます。 読み心地については気を使ってる部分でもあるのでコメント嬉しいです。 ちょっとオーバーな話になるんですが 出来る事と出来ない事の線引きってなんなんでしょうね。所詮、個人の周囲の物差しによる限定的な判断だったりします。反面、ルールがあるものは、ルール内で出来ていればいいのか、それとも抜け目を見つけることに美学があるのか、ズルしてでも勝つことに意味があるのか。 主題とはそれますが、少し思ってたりします。
0この詩を読み、何だか不思議と安心しました。自分の中の矛盾とずるさへのもどかしさを的確かつ痛快に表現しており、人間味溢れています。変に独善的に非難したり、自己防衛的に正当化するより、矛盾を認める方がずっと素直だから、この詩を読んだ人はほっとするのかもしれませんね。要は、一周回って純粋です!矛盾からも目をそらさないそういう素直さこそ、本当に信頼に値するのだと個人的には思います。 「食べやすさだけが美味しさだけではないと知っているのに、わかりやすさだけが売れるのはなんでだろう。」ここの部分はそれまでとは違った批判が含まれていますね。薄っぺらいわかりやすさが人気となる現象、不思議ですよね。逆に複雑さが正義だとも思いませんが、読者や消費者としては難しくても大切なこと、表現されなければならないことをしっかり汲み取っていきたいと改めて思います。素晴らしい作品をありがとうございました!
1ariel様 最後までお読みいただきありがとうございます。 また、お褒めに授かり光栄です。 今回、伝えたい事が無かったわけではないのですが、個人的に前作で説明し過ぎたので、あまり意識せず思い出話のように、漏れ出す?感じを意識しました。 というか意識しませんでしたの方が正しい気もしますが。 この詩に限らず、わりと私自身の行動も矛盾を抱える事が多いので、それこそ純に、思い出話を聞いてもらえたようで嬉しいです。 ありがとうございました。
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