別枠表示
Connected - Powdery Blue
1章/ ( 君の傷から噴き出した彼の姿を 見てしまった君へ ) 君は見たことがあるんだろ 行ってきたことがあるんだろ 「 YukiGa, Mitai. 」 と 言っていた 「 Mata, Raisede. 」 と笑っていた 涙さえ 引っ込むほどの衝撃だったじゃないか 君の歩かされた道、また、道 … どれをとっても、 君へと繋がってきたのだね 泥を詰め込むやからなど 私にはどうでもいい 何故なら それを電話越しで語る君が 確かにまだ生きているのだと 知ったから それがつまり君を 生かしているということの本質なら 私は謎を解き続けるために 毒を飲むくらいは 造作もないというのだ その傷は君に何かを教え続けた、だろ そら五月蝿いくらいに … 「俺たちを見ろ」 と 2章/ 青が暮れてゆく ただでさえ わたしは目の奥、青が焼けるのをとめられない 反転したネガの向こうに 蒼穹は留めて置けないのに うたかたに告げる間もなく始めてしまった悪あがき きっと失われてしまう、だから 差し込む紫外線にじりじりと朽ちる青の姿を 記憶に留めたかったか、早送りしたかったんだろう きみが置いていった形見の色は 鮮やかに息を吹き返し 生まれ変わる青は錯覚 だからこそ 比類ない輝きで私をまた錯覚へ陥れるのだとしても、 繰り返しそこへ連れて行ってほしいと思う 私の中でただ美しい影として透き通ったひとかけらの青は もうここには居ないね 追いかけるほどにゆれていたきみの裾、 ( 蜃気楼 )) 掴めるほど近くても すり抜けるくらいの力でしか 引き止めて置けなかった、いつも 君が置いていった形見の色で 鮮やかに息を吹き返す色があったとしても 私はそこへ戻れないことに気がついていた トバリで失った空間の片隅が 断絶して、されて、君に届くことができない 晴れ 枯れているのに空は眩しい水色で 君が本当にそこへ還ったような気がしてた ( Powdery Blue. )
Connected - Powdery Blue ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 964.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-08-06
コメント日時 2017-08-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
君に宛てた言葉が、また他の誰かを護りについても、君は優しく呆れるの、だろうけれど
0〈君の傷から噴き出した彼の姿〉この一節のインパクトがすごいですね。 〈 Mata, Raisede.〉君、は、自殺を予告して去っていったのか・・・。 〈それを電話越しで語る君が/確かにまだ生きているのだと/知ったから〉 〈私〉の元を去っていった〈君〉は、〈彼〉のために深く傷ついている。 それでもきっと、〈君〉は〈彼〉を愛しているのでしょう・・・こんなにも〈君〉を愛している〈私〉ではなく。 〈きみが置いていった形見の色〉青春の苦さ。恋の苦悩。 私の勝手な読み方ですが・・・そんな切ない物語が秘められているように感じました。 〈造作もないというのだ〉とか〈もうここには居ないね〉といった、太く叩きつけるような骨太の言葉。ハスキーボイスの男性が渋く歌うジャズバラードを想起しました。
0まず、Powdery Blueというフレーズに惹かれました。粉状の青、とでもいえるのでしょうか、それよりは、映像として、青い紙吹雪がちらちらと宙を舞うような、そんなイメージが浮かびました。 最初の二行、ふと不思議なつくりになっています。というのも、君の傷から出てきた彼を見ているのは、語り手の私ではなく、君であって、語り手は君の観察者であることがわかります。 YukiGa, Mitaiと言ったのは誰で、Mata, Raisede.と言ったのは誰なのか。前者は君で、後者は彼であると捉えました。というのも、一章はとにかく、君と彼との関係を語り手の立場が観察した結果を描いているだけに過ぎないのだと。例えるならば、好きな人の恋愛相談を受けている私の話、のような。 「君の歩かされた道」というのは、はっとする表現でした。君は自ら道を選んで歩いていたのではなく、誰かによって歩かされていたという、それもおそらく彼によってでしょう。ただ、それが「君を/生かしているということの本質なら」、毒を飲むという、三者関係。 傷がある限り、目に見える形として、君に何かを訴え続けますが、それがなぜ「俺たちを見ろ」と、「たち」という複数形となったのかがわかりませんでした。 そして、二章では「青が暮れてゆく」と、一見夕焼けを描いているような始まり方をするのですが、外部にある青が焼ける姿を体の内部へと、奥深くへと語り手は受容していきます。それは、ただの風景の変遷ではなく、むしろ語り手の内部にもともとあった原型が共鳴し始めたような感覚を覚えました。 「きみが置いていった形見の色」が青色であるという断定はできないですが、ただ、「生まれ変わる青」として存在しつつも、それは「錯覚」であるという。それでも、語り手の中には確かな存在として知覚しているのでしょう。そして、それが錯覚だったとしても、その色が比類ない輝きを纏い、君がいる/いたであろう「そこ」に連れて行ってほしい、という君に対する語り手の欲望が一番表れているように思いました。(ちなみに、この辺でわたしときみがひらがなになっているのは、故意でしょうか) それでも、生まれ変わる青はおそらく未完成でしか在り得なかったので、「ひとかけらの青」であり、「もうここには居ない」ものです。裾を掴みたかったけれど、掴めなかったのは、私が君を想うことより、君が何かを想う気持ちを思いやっての結果だったのでしょう。それでも、私は君が傷ついていたのを見ることしかできなったのは、何とも言えないやるせなさが伝わります。 最終連は前向きな決意が現れています。 「私はそこへ戻れないことに気がついていた」 「空は眩しい水色で/君が本当にそこへ還ったような気がしてた」 水色がここで初めて出てきます。おそらく生まれ変わった青なのでしょう。そして、その青はまだ世界に触れられていない、生まれたての純粋な青として、純度が高く、透明に近いものとして、水色で在るのでしょう。 それにしても、Powdery Blueというフレーズがとても気に入りました。
0まりもさんへ 何かと粗の多い作品でしたのに、…、的確な目線でお読みいただけて、とても驚きました。 どうも有り難うございます。 なかたつさんへ Mata,Raisede. も、「君」の言葉でした。けれど、なかたつさんは、おそらく、「君」が、生きていることを事実として受け取りたいのだろうな、と、思いました…。 傷がある限り、目に見える形として、君に何かを訴え続けますが、それがなぜ「俺たちを見ろ」と、「たち」という複数形となったのか といいますのは、 「君」が見た「彼」は、最初から複数だったのです。 なかたつさんは、私の書き違いに気がついてくださいました。 どうも有り難うございます。
0