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逆説的な届出のあれこれ
(✓)確約をとりつけること 保護した紙切れの朱肉は乾くでしょうが (✓)保険をかけること 光るものだけ見つめてたい眼球には 均等に塗りこめられた椅子四脚の艶 更新には照度五千ルーメンの食卓で 箪笥の木螺子は固く閉められている 外因で外れることは赦されていない 普段使いの茶渋に些かも興味はない 椎間板は刺激すれども充たされない 女共が騒ぎだすと後戻りはできない (✓)安寧を求めること 欄間から覗く効きすぎた暖房の末の結露 湿気を帯びた布団の上で組まれ重ねた躰 手口と墨痕は温かい重き肌の上を這う蛇 薄紅の被膜の越えられないもどかしさよ いちにちいちにち違うねこを飼いたいね (✓)埒外から視ること 色のついた洗濯物を綯い交ぜにしてから 人の不幸を祝ってきたと云うの 書いてきた文字数に比例して跳ねる泥濘 誰の顔にも塗ってきたと云うの (✓)照会 合わせ鏡の実像に語らぬこと (✓)意訳 残酷だな 残酷だとも 生とはかようなものだ ( )確認 飼い慣らした舌の色鮮やかな口調を疑おうともしないわたくしに優しい物語など綴れるものか
逆説的な届出のあれこれ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2189.4
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2020-06-06
コメント日時 2020-07-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 1 |
技巧 | 2 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
何かひとつのことを多面的に事務的な「書類」にまとめたような不思議な感じの楽しめる詩でした。 その何かひとつは僕には発見することはできませんでしたが、もしかしたらちゃんと、しっかりと書き示しているのをうっかり見落としているような気分になりました。まるで本当に事務的で難解なお役所書類や保険の約款や、それかもしかしたら分かり合えぬ気になる誰かの心情を、垣間見た時のような。 でも最後の一行でふと、「わたくし」の「弱さ」を見るようであり、またあるいはこれから「優しい物語を綴」っていくぞという、タイトル通りの逆の意味の「宣言」のような、そのような気持ちを強く感じました。いい詩だと思います。
2「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸…」と書かれた書類を読んだときは「これ宇宙人の言語だろうか?」と眩暈がしたものです。 ほんとに約款とか小さい文字で書かれていたりして理解するのに時間を要しますよね。 私はとても苦手です。 >分かり合えぬ気になる誰かの心情 なので、多宇さんがこう表現された感覚はこの作品で実験をしたかった感覚で、もちろんこの羅列の中に自分の解釈はあるのですが、仕掛けとして読み手に伝わらなくとも、また解らなくてもよいな、とも思っていました。 優しい感想をありがとう。 いつか最後の項目にチェックが入れられるとよいな、と(笑) コメントありがとうございました!
1明らかに読ませる気が無いだろうと思わされる小さい文字や、乾パン並みに固くて乾燥しているコンクリート文章を見ると、反射的に詐欺を疑ってしまう千才森です(笑) まあ、書いている方は、神経をすり切らせるほど相当に気を配って書いているのでしょうけれど。 難しい詩ですね。狙いを読み解こうと思ったのですけども、しっくりくる道筋を見いだせなかったです。そもそも、詩を読むのは苦手なもので。 そうですね~、婚約届、結婚、家庭を持つ、表面をなぞるとそんなイメージがわいてきました。 面白い表現だと思った部分にわたしなりの読み方を加えると、 ・保護していても朱肉は乾いてしまう←それを保護というのだろうか? ・光り物が好きなのであれば、眩しすぎて白飛びするほどの照度で日常を過ごすと良い。←ちょっと皮肉を感じました。 ・釘と違い、外れることを前提に組まれる木ネジは、しかし、箪笥であれば外してはいけない。←箪笥の所有権の問題かな。 ・茶渋に興味を持てなくなったり充たされないのは、日常に潜む毒と言われる飽きが来ている証拠かも。 『安寧を求めること』では、安寧を手に入れたはずが、どんどん不満が出てくる不思議を示しているよう。 『意訳』が興味深かったです。今まで硬さのある文章で書かれていたのに、一気に生々しい口調になり、訳すとこんな感じになるのかーと。 確認。確認ってもう決まっている事柄について確認する場合が多く、変更が効かない印象があります。そこにチェックを入れられない、認められないのは、なかなかやっかいな問題だなと思いました。
1ある程度詩作を行ってきた人でなければ出てこない作品なのではないかなあと思いますね。過去に同様の主題を持つものを私は書いたことがあったかな?…わかりませんが。 合わせ鏡や最後の( )確認などには思わずクスッとなる方もおられるでしょうね。そういう点では親切といいますか、親しみがある作品のように思いましたが、私ならばおそらくここまで硬い表現はむずかしいですね。同時に書き手に問う作品とも。 作りたくなる魅力のある作品と思いました。
1体調不良により、返信が遅くなりまして申し訳ありません。 実際そういった詐欺が横行しているので、それもまた技術なんだなぁ、などと思ってしまいます。 中にはアホっぽい詐欺もありますが……。 狙いですか……強いて云うならば、現代詩が文章の硬度があると善とされない事を知り(違う詩サイトでそう指摘された経験があり)意地でもそんな詩を書きたくないという反骨精神ですかね。 内容については千才森さんの指摘通り家庭内をモチーフにしています。千才森の解釈も楽しませて頂きました。わからない羅列を読み解くとき、読み手の想像力が要なのだな、と思います。面白かったです。 「確認」に関しては、天邪鬼なものでどちらの気持ちを持ったまま、矛盾したまま、書きました。 千才森さんが仰るように、自分自身の感情ほど捉えられないものもないぶん、なかなかやっかいな問題だと思います。
0体調不良により返信が遅くなりまして申し訳ありません。 前半ほぼ意味が分からないだろうとは予想していましたので、後半は親切設計な構成にしました。 硬い表現とよく云われるのですが、多分漢字を多用するからかな、と自分では思っています。 私は基本的に詩を自分のために書いている(優先順位として)ので書き手というよりは自分に問うているのです。 宣言のような、そんな感じです。 ………… 千才森さん、湯煙さん、コメントをありがとうございました!
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