プランクトンと一緒に見上げた海は
もうひとつの空で 見恍れて
あたらしく名前をつけた
あ、
おぼれたのは
おとなになってから
青い名前で
夕焼けにピザまん齧って
ねこの恋 横目にしながら
錆びれた黄色の自転車 漕いで帰ろう
ねえ青い名前で
あ、
さがしてるとみつからないのに
さがさなくなったとたんに
青い名前で
くらやみ歩道橋 暗がりにあなたと
虹彩の奥 水晶体が灯る
蛍石を燃やしてできたソーダ水ごくり
ねえ青い名前で
あ、
シャウエンのまちにならって
あおく あわく あまい
青い名前で
潮風が吹き抜ける やまての
イエロー屋根の小さな家を買おうよ
釣瓶落とした庭先 柘榴なる木
もぎってみずみずしい実 食べよう
ねえ青い名前で
あ、
カーテンはいまだにそよぐよ
もうみえないあなたのかげもおどる
まぶたのうらがわだけに
青い名前で
布を裁ち 揺れるスカートの裾に
オリオンの刺繍をほどこして 縁どる
継ぎを待つようにして
ねえ青い名前で
あ、
いらないものはすてたよ
たまにおもいだしてなくよ
しはすべてけすよ
青い名前で
他人が相応しいといった名前に変えないで
お盆に乗せたさびしい花も丁重にお断り
赤も青も 汚さも弱さも 美しさすらほどけて
凪いだ海になって還るがいい
あ、
なかみはあおかった
こどくだった
でもあいはしってた
青い名前で
ねえ青い名前のまま
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 1835.6
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 9
作成日時 2020-05-27
コメント日時 2020-05-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 4 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 3 | 2 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 9 | 7 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 1.5 | 1.5 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4.5 | 4.5 |
閲覧指数:1835.6
2024/11/21 21時05分30秒現在
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読んでいくと「あ、」の部分で、詩は一つの線が通っているけれどリズムは絶妙に裁ち切られるような感覚で、変拍子の音楽を聴いているようでした。 「青い名前で」から始まる部分は、夜野さん節だなと思わせます。いい意味でポエムの香りがして(何故そう思うのか、また、何故自分がやった場合そうならないのか、何度も読んで考えさせられます)。
1プランクトン/ねこの恋/蛍石/ソーダ水/オリオン という単語たちにも見られるように、青い名前~ から始まる連は如何にもポエム風といった感じで私はあまり好きではない、というか、あまりにもありふれた表現だなあと思ってしまうのですが、前の方が言われているようにそこからの あ、 から始まる連での変調は読んでいて楽しかったです。あと、これは完全に個人的な好みなのでしょうが、後半部分、結構「ここに私の言いたいことがあります」感が出ているように感じてしまったので、「たまにおもいだしてなくよ」で終わらせて、それ以降は全カットした方が私は好きです
1今回の作品はリズムを意識して書いたのでその部分を印象づけられたのは良かったです。 ポエムって少女性って自分では分析をしていて、性差によるところが大きいのかな、と。 もし男性が少年のような詩を書けば、現実を直視することに長ける女性からは顰蹙を買うだろうし、現実に生きなければならない男性からは疎ましく感じられるものだろうと思っています。 現にポエムを揶揄する声の多くは男性からです。 (実際40を超えたおばちゃんが少女性だのポエムだの気持ち悪いと自分でも思うのですが、歳とは関係なしにそういった部分を持ち続けているのも、ある意味挑戦かなと思っています) 最終的には少女性よりも人間性に近づく作品が書けたら、いいですね。
1凡庸な選語だと自分でも感じています。ただ、全カットした方が…にも関係あるのですが、ねこの恋/ソーダ水/釣瓶落とし/オリオン/と季語を入れたかったのです。時間の経過とともに変化していく「青い名前」とも関係性を示したかったのです。現在から死ぬまで、青いままいたいのです。 けれど指摘の通り、圧が強かったなと思います。 変調の部分は楽しんで書けましたので伝わってなによりです。 ありがとうございました。
0最初の連で、錯覚の様にマリンスノーを想起したのですが、プランクトンと一緒に、海を見上げたのですね。プランクトンの死骸が降って来るマリンスノーとは違うと思うのですが、その後繰り返される青い名前。当然海を想起させるのですが、海と言う名前を付けないでと潜在的に行って居る様にも思えました。
1底に沈んで上を見ると綺麗だろうなぁ、プランクトンが雪粒のように思うかもしれません。 まさにマリンスノーですね。名前は具体的に考えなかったのです、実は。 ポエムが青臭いと云われるように「青(臭)いまま」でポエムを書いていきたいなぁと。 エイクピアさんのコメントを読んで、ハッと気づきました。 名は呪いであり自縛で、その枠から逃れたいとつねづね思っているのだと思います。 多分云われなかったら気が付けなかったと思います。 なので、とても、ありがとうございます。
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