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再考の光
賽の河原で小石を積み上げるように 朝日の手前で劣等感を積み上げる 苦しゅうない 苦しゅうない 背中にあたる手の温もりは 記憶の中だけ鮮明だ 無機質な空調の音だけが 乾いた心に響いてくる あらゆる苦しみや痛みは 時間が解決してくれると言うけれど そんな気休めの言葉が どれだけこの瞬間に耐えうると言うのだろう ひどく疲れた顔がいくつも浮かんでいる 鏡のなか変わり映えしない日常が ナイフを突き立てて私に迫ってくる どうしてここに居るんだよ 今すぐに逃げ出せよと 脅迫めいた蒼さを輝かせる 失望の舞台裏で煙を吹かし いつまでも青臭さを滲ませる在りし日の幻影 それを僕等希望と言って 今朝もそいつを通勤列車の車窓 恨めしくも光っていた 都会のすこぶる硬い部分に打ち付けては ひしゃげたその成れの果てを嗤っていたのだ 泥臭さを待ち望んでいながら 黒い染み一つで顔を顰めて どん底の悲しみに焦がれながら メランコリックな毎日に陶酔している ぐるぐる回る回転木馬のように どこにも行かないデッドヒートを繰り広げる その周回の先に現れるのが 僕ら虚しさだけだと知っているから 今夜もこの逡巡の果て 干涸らびた眼に入ってくる乳白色の光 どうしてそんなに美しいのかと 途方に暮れ可笑しくなって笑うんだ
再考の光 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1154.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-05-26
コメント日時 2020-05-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
まず最初の4行がインパクト抜群で、クスっと笑ってしまうかもしれませんが、決して失笑ではありえないですね。朝日の前で劣等感を積み上げるとは思いつかない発想でした。ここではないどこかへと言う思想もあるのかもしれません。どこへも行かない、行けない、そんな虚しさ。干乾びた眼は何を象徴して居るのだろうかと思いました。最後の行の笑いは総括的な笑いではなくて、なにか日常の笑い、日常に埋もれそうな笑いを発掘して紹介して居る様な笑いだと思えました。
0詩を書く人で「詩」がなければ生きていけなかった、という書き手が少なからず存在していると思うのですが、その典型的な例かなと感じます。 肉薄する、求心力と云うのかな そんな力が強くて、身体を素通りすることなく、内側に留まる詩だと思います。
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