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私はれんげちゃん
私は長女だ。世間的ないわゆる長女らしい長女とよく言われる。少し要領は悪いけれど、言葉遣いは丁寧だし、自分の物だけでも片付けてと言われたら、全員分片付ける。反抗期だってなかった。嘘はつかないし、謙虚だ。母は私という人間を説明する時、上記のどれかを用いる。母の言う良い子でいる事は、少し馬鹿にされたような気分だった。 私は母の前で疲れたと言えない。以前ぽろっと、言ってしまった事がある。疲れたと呟いた途端、苦労自慢大会が開催された。お母さんの方が、お母さんのほうが。あなたなんて、お母さんに比べたら、あなたの為だけに働いてる。あなたななんて、猛攻撃してきた。私はいつの間にか母の愚痴を聞いていた。無理やり疲れていない事にされたのがショックだった。歯痒い気持ちになった。それぞれ自分の世界で疲れた事や、やめてしまいたい事、それでもやらなければならない事の狭間で踏ん張っているのに、この世に悩みのない人間なんていないのに、愚痴を聞きながら頭の中で自問自答をしていたこの時初めて私の中で絶対的だった母の存在が母でなくなった。母が1人の女に変わったのだ。 そんな人に私だけの気持ちをご丁寧に説明する必要はない。あなたの時間を無駄にするようなことはしたくない。 私の気持ちなんて一生教えてやらない。私のことを要領が悪くて、友達が少なくて、出不精で、やりたい事も、将来の夢も特になくて、恋人も居ない、男と目を合わせて話も出来ないコミュ障な処女と思っていれば良い。 私が毎晩ガールズバーでしょうもない下ネタに恥ずかしがる振りをしながら男共の馬鹿みたいなコールに乗せられテキーラをガンガン飲んで、吐いて、また飲んで、 私だって私なりに金稼いで楽しくて、面白くて、気持ち良くて、気持ち悪くて、疲れて、始発を待つ朝、駅のホームですっ転んだりしているんだ。知らないでしょう。 真面目だけど要領が悪いなんてつまらない言葉で私を分かったように説明してくれるな。あなたにコーヒーを入れるよう頼まれる度に私はコップの中に唾を垂らしているし、バスタオルを取ってと頼まれたとき私はトイレの便器を拭いてからあなたに渡している。そんな事しないと保っていられないんだ。タダで馬鹿にされるほど馬鹿で居られないんだ。疲れて帰ってきて、お風呂に入って、バイキンだらけのタオルで全身を拭くあなたを、仕事に行く朝、私の唾が入ったコーヒーを飲んでいるあなたを眺める時間が必要なんだ。馬鹿にされるのも疲れるんだ。これからもあなたの望む良い子でいたあげるから、どうかこれからも私の事を知らないでいてれ。
私はれんげちゃん ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1462.8
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2020-05-21
コメント日時 2020-05-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
果子さん じゃあどうだろう そうテーブルの上に置かれてるのはあなたの絶望だ どんな気持がする? それを自らの手で作りあげて置いてみて 自分で眺めて たぶんそれは勇気のある行動だと思うよ アートってそういうことだと思う いやもしかしたら全部的外れかもしれないけど もしそうだったらそうなほうがいいだろう
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