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殺戮者の懺悔
もう動かない。 空っぽのそら。 ほんの少し前まで『それ』は生きていた。 それだけじゃない。 見渡せばあちらこちらに動くことはないそれらが横たわっている。 少女。 少年。 青年。 老人。 あるいはそのどちらにも当てはまらないもの。 思い出せ。 思い出せ。 思い出せ。 口から溢れる言葉も虚しい。 『彼女ら』はもう動くことはない。 このまま朽ちて影すら残らないだろう。 どうすることもできなかった結果のみだけが有る。 どうして自分はこうなのだろうか。 後悔の言葉も愚につかない。 何の意味もなく、言い訳でしかない。 罪の意識はある。 それどころか常に囚われて、焦らされ続けている。 己のどうしようもない性(さが)。 食い散らかされ捨てられていった『彼女達』に謝ろうにもそれは儚く溶けてそれは消えていく。 残るのはかつて抱いた希望とそこにあったという思い出だけが。 悪癖と罪悪、積み重なって風化していく『彼女達』 それでも止める事は出来ない。 また諦め悪く生まれた『彼女達』を抱き寄せて『これから』を紡ごうと立ち上がる。 今度こそはと語り尽くそうと懺悔の言葉を飲み込み、物語るための言葉を探し始める。 殺戮者は懺悔と希望を背負いながら『彼女達』の手を取りフラフラと歩き出した。
殺戮者の懺悔 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1097.3
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ポイント数 : 0
作成日時 2020-05-10
コメント日時 2020-05-11
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最近、独ソ戦や冷戦下のソ連の収容所についての本を読みまして。 芝生を刈り取るように命が軽く扱われていったことを知りました。 指示した上の人は、命の生々しさを感じなかったか、目を背けたから命令できたようです。 ここの殺戮者は死んでしまった人々の生々しさを初めて感じ取ってしまったのでしょうか。 こうするのが性だったとしても。 殺戮者がもがく様子も見てみたかったですね。 言葉を見つけ出す瞬間も。 個人的には前の職場で人間側の都合で安楽死していった牛たちが思い浮かんできました。 産まれてきたばっかりの子牛も安楽死させないといけない事もあったので、余計に。
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