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ピース、ストロボ
ある日友人が呟いた 「鷺て、ポキておれそうね」 白く細かった鷺が水しぶきの中 静かに足を上げていた 自転車で走っていると、いつも ポケットにあるピースの箱がいつのまにかなくなる そっと自転車を下りても ジーンズの右ポケットには何もない 左にはライター ライターが勝手に点火するほうが 煙草がなくなるより ずっといい と 思う いつも 君が僕を好きだと言った 今日仕事場の人が辞めた 転職先が決まったという 聞けばJR東日本 吸ってる煙草はラッキーストライク・メンソール たまには怒られることもある 始末書を今週中に出さないといけない 僕は君を好きだと思わない 猫科の動物になりたいと思う にゃー にゃー と言いたい 外人ハウスに住みたい 今外人が家にいる ロースクールには行きたくないと駄々をこねる友人が 択一に受かったと泣いていた 隣の家の人は皆挨拶しても返事をしない わけがわからない 日常はあっ、 、という間に過ぎて きっと私は年を取るだろう ピースみたいにいつのまにか 零れ落ちていく いつ 落ちたのか わからないまま それでも真夜中 自販機の前でピースを買う 二百八十円 おつりの二十円はいつでもおいたまま 誰の手に握り締められるのか 考えて 道を歩く 点火/点火 ピースの短い間の煙 私は眼を瞑り 呼吸をしている かざした両手は 色褪せない ライターはいつか点火する それを待とうか、 なんて心地よく考えもしながら
ピース、ストロボ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1214.9
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2020-04-03
コメント日時 2020-04-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 0 |
総合ポイント | 6 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ピース、なにか思ったらショートピースだったんですね。僕は腰抜けだからロングピースしか吸ったことがない。けどハイライトは知ってるので、ちょっとわかります。フィルターに穴が無かったり、まさかの両切りタバコは、横から空気が入らないぶん吸い込めば盛んに燃えて、すぐに熱くなり、辛い。せっかくのピースだからたぶん、そっと吸いたいと思うはずです。つまり、長さに比して意外とゆっくり吸うことが多いと思う。そうじゃなく、「ピースの短い間」なら、そのぶん、寒くなければならない。水辺、静かという書き出しの情景もあり、季節は冬でイメージしました。(でも、冬は自転車を嫌がる人も多いから、春先とかかもしれません) 生活感というか、個人を感じる詩でした。ただ「白く細かった鷺」「自販機の前でピースを買う」はそれぞれ「白く細い鷺」「自販機でピースを買う」と簡単に言ってよかったのではないかな、と思います。 やはり目立つところですが >日常はあっ、 >、という間に過ぎて の間の演出はありそうでなかったという感じで、面白いと思いました。
0タバコってもうあんまり若い人吸わないよね なのでちょっと平成の感じがする 青春も知らないうちに過ぎて心のジッポの火もどこか細くなった タバコの味にばかり詳しくなった そんなアラサーアラフォーに染みそうなポエム なんだかよくわからないけどお気に入り登録なのであった
0こんばんは。 とてもテンポ良く、繰り返して読みました。独り言の日記のようでもあり、タバコが作品の中(日常)で爆弾みたいな存在で、とても好きです。
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