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詩と信仰と読点についての即興詩
“俺”なる一人称にもいい加減飽きたし何より今さらロックぶるのもHIP-HOPの時代に寒いし別にどうでもいいんだがとりあえずこうやって始めていこう俺のスタイルの最もプリミティブな層から言語を生成していくとしよう。むろん語ることなど何も決めていないし別に何かを語ることが詩でもない以上俺は最終的に何も語らないのかもしれないが少なくとも「何も語らない」ことがテーマではないのは確かなことだ。なぜならそういう気分じゃないからだ。 何時だって詩はこういう夜から生まれてきた。この金曜から土曜へと移行する時間の継ぎ目をうつくしく覆い隠す夜の帷の下でつめたく沸き立つハレ/ケのまぐわう河口に浸りながらしずかにポエジーが身体ならざる身体の何処かに内蔵された回路を繰って流入/出した。つまり鋭いそこのお前があるいは薄々気付いた通り詩的身体もまたある程度社会に規定される。ある種の神秘主義に傾倒した詩人もまたそうした特殊な社会において幻想を共有するためのルールによって縛られることを引き換えにしつつ任意の性質を持った詩の回路を獲得しているにすぎない。それが個人の・個人による・個人のための宗教であれ、それは自己と超越的存在、あるいは自己と高次の自己とのあいだに契約された一個の仮想社会と言える。 SHUREのカナル型イヤホンSE215のダイナミックドライバーから出力される呂布カルマのラップもまたきわめて教祖様じみたセルフボーストをしかしあきらかに表現上計算高いやり方で代入したリリックを淡々としたフローでライミングしてゆく。Twitterをついっついっとスクロールすればそこにも教祖様じみたどこかの詩人が謙虚そうに近代のレガシーを幕下から覗かせて微笑んでいる。彼らはアーティストとしてとても優秀だ。ダリのように努力家だ。純度をすら犠牲にしながら純粋に生きているように魅せているのだから。私はもう、それを蔑み笑う自分自身をすら笑ってしまう。自分が自分であることを笑う。そういう奴が最後に残るかは知らない。まるでFORKのように。知らねぇ。 *。゜。 ○** 。*゜。 。 なんか、散文に飽きた、から、(ここ、 (ここで、読点、を 、 氾濫、します、(ね、 眠れない、夜/ ㅤㅤㅤㅤㅤ/の、裂け目、から、 漏れ出した希死念慮のネオンの ㅤ ㅤㅤㅤㅤㅤ ( (蛍) ) ゜○。* * ゜。 。゜* ――――何時だって啜り泣いている裡に消えるものだ。人間は泣けばとりあえず生きていけるのかもしれないし俺はとりあえずそうだった。そうでなくなる日を待っていないと言えば嘘になるが。 台所のコンロに火を点けて水入りのやかんをかける。コーヒー豆は切らしているから緑茶をティーポットで淹れる。こういうずぼらな自己の有り様をオルタナティブと名乗ればスタイルになるのかは興味がない。ただティーポットでも湯温の調整と茶葉の対流に気を遣えば色々と遊べるのは確かだ。西洋から輸入された文学という名の幻想を日本語で追いかける空しい戯れのなかにしか生まれない旨味も香りも確かにあるのだと信じている。たとえそれが迷信に終わろうともその灰からは新しくふさわしい詩歌のすがたが立ち上るはずだから。 ギリシャ叙事詩の曙が指赤く差す窓辺にて硝子ポットに舞う八女の茶葉はやわらかに開く。俺はそっと俺を濾過して私になり、読点を置く、
詩と信仰と読点についての即興詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1698.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2019-12-07
コメント日時 2019-12-09
項目 | 全期間(2024/11/23現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
沙一さんへ いつも拙作を拾ってくださりありがとうございます。 >作品としてはまとまりに欠けています ガチの即興フリースタイルながら、一応全体の流れはその場で作ったつもりだっただけにだいぶ悔しいですが、たしかに作中のあらゆる要素が途中で生成消滅して、何かに結ばれないまま漂っている感じにはなったかもしれません。良くも悪くもポエム。 最終連は一応着地点ということもあり、ひとつ前の連のテーマを引き継ぎつつライトヴァースのなかでも浮かない範囲での詩的表現をやや強めてみました。ほぼ感覚でやってはいますが、うまくいっていたなら嬉しいです。
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