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消費される花々
街を歩いていると、様々な鉢植えに出会う。 アスファルトを鳴らす靴音、 車のタイヤが転がる音とエンジンの音、 人の話し声、 そういうものを拾いながら街を歩いていると、 街路樹の陰に細々と咲く、鉢植えに出会う。 四角い空から降る陽射しは、 森の中よりも冷たくて、 そして何より、同じ道を歩いても、 四季折々に違う鉢植えがある。 きっと、本来同じ場所で咲くべきではない花々が、小さく咲いている。 セメントの壁とコンクリートの壁の隙間にあえぐように、色とりどりのまま萎れた花を見ていると、そこに植えられた彼らが、すり減っているように見えた。 伸び伸びと咲き、人に見られることなんて全く気にしないで、次に種を繋いで、もうやることは何もないとばかりに勢いよく、茶色に朽ちて枯れていく彼らの生き様が、小さな土に押し込められて、色を残して枯れていく彼らと重なるはずもなく、まるでそれは、人のために消費されていくようで、それは、とても。 踵を返して帰路を急ぐ。ちりりと痛むのは、何故だろう。 その死を悼むのは、誰だろう。
消費される花々 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1578.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 7
作成日時 2019-12-01
コメント日時 2019-12-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 0 |
総合ポイント | 7 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.5 | 0.5 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
即興で返詩を。 種が そこに転げ落ちた ばら撒かれたそれは 人の目につくこともなく ヘドロが 瞳に映した 血と暴力に汚れた手が 覆い護った その累々と重なった死を 無残なる亡骸を 涙流す 緑の体が これがここにいるよと 声を出す 花が咲く 縁により 頭上に 花が咲く
1テーマとラストの急降下感は好きですが、 そこに至るまでにもう少し工夫を入れても良いのかな、と思いました。 例えば冒頭「街を歩くと~」から二連目「そういうものを拾いながら~街を歩くと」と 言葉が重なってしまっている。 (鉢植えに出会うも同様に重なっている) 重なったことで面白味を増す場合もあるけど、この場合は少し冗長に感じました。 重ねるなら思い切って三連目、四連目にも重ねてしまっていいと思います。 ただ「伸び伸びと~」から最後までの詩句については、引き寄せられるテンポと美しさ、それから悍ましさがあり、 ひとつひとつ拾っていくと現実の描写を詩へと変換するときの手際がとてもいいと思いました。
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