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車の窓から
猫が一匹、傾斜はおよそ四十五度の 土手の階段をのぼっていった のっのっのっ 白と黒の毛色の猫が一匹、寒空の下だ ゆうゆうとした足取りでのぼっていってしまった のっのっのっのっ 草に気をとられることもこちらを見ることもなく (ふん かわいいやつだ) そのまま見えなくなった のっのっのっのっのっ ──あれじゃあいつかのどこかの誰かさんだ 視線を再び本に落とす のっのっのっのっのっのっのっ
車の窓から ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1728.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 7
作成日時 2019-11-06
コメント日時 2019-12-07
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 7 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3.5 | 3.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
のっのっのっ ……という表現が なんとも あじがありますね。「のっ」の数が増えているところが また 良いです。車の窓からの視線というのも、軽妙な感じがします。「あれじゃあいつかのどこかの誰かさんだ」←さっぱり わからないですけど?だからこそ なんだか そうねぇ。わたしが出会った誰かさん(藤さんの知りようのない人)を猫に例えて、拝読して 勝手に ほんわかとなりました。
0るるりら様 読んでくださって、ありがとうございます。四年前に書いたエスキースに手を入れてみました。 元詩はちょうど車を停めて、本を読んでいた時に、フロントガラスから見えた猫の動きを言葉の相に移しただけのものなのですが、本当に「のっのっ……」という音がぴったりくるなあと思うような足取りだったんです。よく思い浮かんだなと我ながら感心しています。 ただ、見返していると単調な印象が拭えなかったので試しに少しばかり変化を入れてみた次第です。()部分や、ご指摘の「いつかの~」の箇所はその際に入れました。コメント、ありがとうございます。
0のっのっのっのっ、この表現が個性的です。車の窓から眺めているのですね。その視点は猫と自分を同一視することなく、突き放した先にある愛しみ、かわいがりをしたい欲望が含まれていると思います。
0エイクピア様 コメントありがとうございます。返信が遅くなり申し訳ありません。ほぼほぼ猫に視線が注がれている=語り手が猫に親しみを抱いているという点を汲み取っていただき嬉しく思います。 読んでくださってありがとうございます。
0>のっのっのっ オノマトペがフックとアクセントになっているところに目を奪われてしまいますが、この詩に文脈を与えるのは、話者の内なる言葉にあります。 >(ふん かわいいやつだ) >ーあれじゃあいつかのどこかの誰かさんだ また、オノマトペがユーモラスと併せて含有する「軽さ」を情景の広がりまでに昇華されている具体的な描写。 >傾斜はおよそ四十五度の オノマトペと文脈と情景の3つを上手く構造化されており、更に「車の窓から」という題名。 そのような創作の技巧によっての効果なのか、読めば読むほどに俯瞰視に変化するズームからワイドへの変化を感じました。
0珍しいオノマトペですね。 のっのっのっ。 落ち着いた心持ちのする、いい詩だと思います。
0みうら? 様 読んでくださってありがとうございます。「内なる言葉」の中身はなんということもない言葉なのですが、それを入れることで、「見ている感」を(ひいては主体の存在感を)強めて、場や見られている側の猫の影をよりくっきりさせられるのではないかと考えました。おかげさまで単なる事実の報告からは多少なりとも免れたような気がします。コメント、ありがとうございます。
0おむすび 健太郎 様 そんな音がぴったりだなぁと思った、というのがほんとのところですが、たとえば11月のsurvofさんの『ある夕刻』という作品には、 《みずうみの表面のあぶくの伸び縮みの……》 と「の」を使った詩行が何度かでてきます。https://www.breview.org/keijiban/?id=4345 「の」は言葉を次に運ぶ働きがあるのか、「の」につられてこちらが次へ読みすすめていくところがあって、そういえば西脇順三郎にも「の」ですすむ作品があったのを思い出し、それなら(猫が足を)運ぶ音としてはあながちハズレではないかな、とかなりの後付けですが思っています。コメント、ありがとうございます。
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