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緊急停止、緑ノ岳にて
規則正しいリズムから 放り出されるように飛び出し 帰り道がわからない暗闇の中 手荷物はフワフワと浮き 何処かへ行ってしまった 彼女の顔が銀色の手摺に歪んで映り 蛍光灯の光に照らされている 視界に入った物達が 微睡みの中で怪しく戯れる 隣で本を読んでいた 白いワンピースの女が 突然私の目を覆い隠した 私の声だけが 暗闇に響きわたり 心臓の音は 大音量で鳴り響く ブルーライトの光が 命取りになるので この苦しみを 呟くこともできずに 動き出すのを ただ待っていた 耳を塞いでも 聞こえてくるサイレンの音 自分が警告されているなんて 誰も思っていないだろう 耳慣れない音に 皆 周りを見渡すこともなく ブルーライトに向かい 直ぐにツイート 温かいキャラメルラテ あなたに「どうぞ」 と勧める夢で目が覚めた 一斉に揺れ出す丸い輪 わずかな微動も逃さず 完璧な集団行動 それまで語られていた 残酷なストーリーは拭き取られ 再び規則正しいリズムが刻まれている
緊急停止、緑ノ岳にて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2220.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2019-11-01
コメント日時 2019-12-30
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 0 |
可読性 | 2 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
何となく、背景に存在する恐怖のようなものが、ときに集まったり、ときに拡散したりしているような感覚を抱き、想像力を掻き立てられました。面白かったです。
0をりふし水様 コメントありがとうございます。できるだけ「恐怖」とか「怖い」という言葉を使わずに怖いことを伝えてみたかったので、うまく伝わり嬉しく思います。 >想像力を掻き立てられました。 このように感じていただけることを、目標にしていたので嬉しいです。ありがとうございました。
0夢を見ていたというストーリーなのでこのような指摘は的外れかもしれませんが、読者へより伝わりやすくするための詩句のつなげ方やワードの選び方に推敲の余地があるのではないかと感じました。 >規則正しいリズムから >放り出されるように飛び出し >帰り道がわからない暗闇の中 >手荷物はフワフワと浮き 冒頭で主人公の状況は「崩れたリズムと真っ暗闇の視界」と読めるので、「ふわふわ」という擬音が雰囲気にマッチしていないのではないかと考えました。 >彼女の顔が銀色の手摺に歪んで映り >蛍光灯の光に照らされている 1連目の情報から主人公の視界は「帰り道もわからない」ほどの「暗闇の中」だと読者はインプットしているので、なぜ映ってみえるのか、なぜ家の中なのかなどがわかりにくいのではないかと。蛍光灯の情報と彼女の情報を逆にしていれば、より分かりやすいのではないかと考えました。 >視界に入った物達が と最低限視認できることを明らかにしたあと、 >私の声だけが >暗闇に響きわたり とまた暗闇の中であると定義づけられ、 >ブルーライトの光が と再び視界の情報が唐突に更新される。 というあたりに、読者がもう少し読みやすくなる配慮があってもいいのではないかと考えました。
0ふじりゅう様 アドバイスありがとうございます。とても丁寧に読んでくださったことが嬉しいです。 >夢を見ていたというストーリー そうですね。全体的にそう感じますよね。厳密にいうと、夢を見ている部分は、 >温かいキャラメルラテ >あなたに「どうぞ」 ここだけなのですが、どの部分が夢なのか、現実なのか、あるいは幻覚なのかは、読者に自由にみてもらいたいなと思いましたが、伝わりにくいと感じてしまうところは、工夫しなければならないなと思います。 >読者へより伝わりやすくするための詩句のつなげ方やワードの選び方に推敲の余地があるのではないかと感じました。 今回、とても悩みました。伝わりやすくしたいけど、ある程度読者の方にも想像してもらえるにはどうしたらよいのかと。一番最初は、ストーリーのように直接的な書き方をしていたのですが、そこからかなり削りすぎたかもしれません。特に詩句のつなげ方は雑だったかもしれません。 >冒頭で主人公の状況は「崩れたリズムと真っ暗闇の視界」と読めるので、「ふわふわ」という擬音が雰囲気にマッチしていないのではないかと考えました。 あまり詩の背景を書くべきではないと思うのですが、少し書きます。 (主人公が夜、列車に乗っていていたら、人身事故が起こり、緑ノ岳という山の中で、列車は緊急停止した。外は真っ暗闇の中、古い蛍光灯が不気味に灯る車内の中で過ごした時のこと) とても不気味な雰囲気なのですが、何となく、この雰囲気にかわいらしい「フワフワ」がほしかったのです。何をフワフワさせようかな、手荷物がフワフワしてたら面白いかな、という感じで書きました。 >1連目の情報から主人公の視界は「帰り道もわからない」ほどの「暗闇の中」だと読者はインプットしているので、なぜ映ってみえるのか、なぜ家の中なのかなどがわかりにくいのではないかと。蛍光灯の情報と彼女の情報を逆にしていれば、より分かりやすいのではないかと考えました。 そうですよね、暗闇なの?蛍光灯?ここは一体どこなんだよっ!と思いますよね。この解説は本当に要らないと思いますが、人身事故で亡くなった女性が亡霊のようなものが列車の中に入ってきて、挙句の果てには列車の中の物たちが動き出して、主人公に見えてしまった、というイメージです。 >ブルーライトの光が >と再び視界の情報が唐突に更新される。 もうチカチカしてしまいますよね。どこぞの山の中で止まってしまった電車の中で、主人公の唯一の救いが「スマホ」だったわけですが、「スマホ」の光さえも脅威であることを表すために、ブルーライトと表現しています。 読んでいただき本当にありがとうございました。
0この詩の中で「目が覚めた」という箇所がありますが、問題は「目が覚めた」後の情景で、それ以前の文章の中でもどこかもの悲しいものがあるにも関わらず「目が覚めた」後の方がより残酷なのではないか。「残酷なストーリーは引拭き取られ」と書かれていますが、その文章を書かざるを得ない語り手の「現在」の方がより残酷なのだろうと。それは、「規則正しいリズムから/放り出されるように飛び出し」た時の方が「わずかな微動も逃さず/完璧な集団行動」をとり始めた時より優雅なものを感じたものですから。というのが、私の読みです。文章の表面をなぞるだけでは、言葉を理解することは出来ない、ということを考えさせられました。ありがとうございます。
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