別枠表示
夜道
黒ぐろと静まる古墳の森には誰もいなかった。足音は若い女の後をついていく。髪の長い女。電柱の真下は明るい。あんなに明るい。途中に何かがあった。片隅の光。 利便性の影で忘れ去られたもの。道で中身を出して潰れている蚯蚓。きっと明日も変わらないもの。切り倒されたまだ息のある巨大な樫。昨日にただ一つ戻り得るもの。空想する夢のあり方。 カーブミラーは鏡であるが窓でもある。ありもしない曲がり角が写っている。蛇行する車のテールランプの赤。その先は行き止まり。虫たちの声は工場で消えていく。缶詰が量産されている。
夜道 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1405.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2019-10-14
コメント日時 2019-10-15
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
よくまとまっている散文詩だと思いました。 古墳というワードが過去から引き連れてくるものを、せき止めることなく、しかし多くを語らない、一見すると写実に徹しているスタイル。 空想する夢のあり方、という一節が、安易にまとめすぎている感があります。 カーブミラーと異界をつなぐ手法が自然。利便性、工場といった言葉がもたらす「現代文明に対する疑問と批判」のスタンスが、やや型通りか。優等生的な納め方とも言えます。 一連で触れる「何か」・・・死者を追うイメージが中断されているのか。あるいは文明社会の歯車として量産、消費される(ことに抵抗したい)「私 」が、「今」という場を抜けて、一瞬でも異界と通じる為の、使者のような存在、として、三連までひそかに繋がっているのか。 その辺りをもっと知りたいと思いました。
0ありがとうございます。たしかに、安易に着地してしまった感が残っていました。丁寧に読んで頂いて感謝しております。
0