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絶景
しいん、と 白い部屋の片隅で、おおきな、おおきな、 爆音が、 鳴った。 (愉快だね/誰も知らない/新発見/音のない音/やさしいんだね) 倒壊する、部屋 炎上する、部屋 噴煙舞う、部屋 しいん、と したまま 倒壊する、音 炎上する、音 噴煙舞う、音 (怯えてる/怯えてるんだよ/理想郷/音のない部屋/聞こえない耳) ずうん、と 黒い部屋の片隅で、きれいな、きれいな、 映画を 観ている (みえるかい/みえないだろう/つらいんだ/つらいんだろう/知ったことじゃない) 黒はフィルムによく映える、らしい 黒は映画にうってつけ、らしい 黒は瞼の裏より暗い、らしい ずうん、と したまま 視界は、黒 視界は、黒 視界は、黒 ピストルの音ばかりが聞こえる 白い部屋に飽きた私は黒い部屋にも飽きて真っ青な世界に飛び出して飛び散って ……………………………………………………………………………………………… うつくしいことばかりだと、いいね ずうん しいん ずうん しいん ずうん ずうん ずうん ずうん しいん しいん しいん しいん しいん しいん しいん 爆発音 引き金引いて 銃口を 地面に向けて ズダダダダン
絶景 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1721.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 24
作成日時 2019-10-08
コメント日時 2019-10-09
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 6 |
前衛性 | 4 | 2 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 4 | 4 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 4 | 4 |
総合ポイント | 24 | 22 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1.5 | 1.5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 0.8 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0.5 | 0 |
構成 | 1 | 0.5 |
総合 | 6 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
私の心の中に広がった感想を書きますね。これは個人的な感想です。 ピストルの音なのか、撃った後の光景に付随する音なのか、心の中の音なのかわからないが、「しいん」「ずうん」は、一瞬の音がスローモーションで描かれているように思う。事故に遭った瞬間のような。 初めは白い部屋から書かれているが、時系列に行くと黒い部屋から始まっているのではないか。ピストルを撃った瞬間はもっときれいな光景を夢見ていたのかもしれない。まさしく、ピストルを撃つときの(ずうん)という音を聞きながら。 そして、白い部屋となり、(しいん)となった。ピストルを撃ったことが現実となった光景。音は光を追いかけてくるというが、まさに少しタイミングをずらして響いてくる音を感じている。はじめはその音に感動、というかここでは「愉快」とか「新発見」というような表現がされているが、その後に >倒壊する、部屋 >炎上する、部屋 >噴煙舞う、部屋 >しいん、と したまま >倒壊する、音 >炎上する、音 >噴煙舞う、音 と表現されており、爆音の後に広がった凄まじい光景に、怯えてしまっている。 >真っ青な世界に飛び出して飛び散って >うつくしいことばかりだと、いいね ここについては、どう解釈していいのかわからなかったけど、ここの部分が一番心に響いた。自分の中の何とシンクロしているのかわからないが、この二行は何度も読み返してしまいます。 そして >爆発音 引き金引いて 銃口を 地面に向けて ズダダダダン と、突然短歌のようなものが出てきた。いろいろと自分の中で想像して読んでいたが、最後に全てをあっさりと集約しているような五七五七七。この短歌のようなものの前までは、自分の中で色々と想像して、しまいにはうっかり泣きそうになったけど、ここで笑ってしまいました。とにかく面白かったです。ありがとうございました。
0非常にリズミカルで緊迫感がある。素早いテンポ。かつ生々しくなりすぎないような情景との一歩引いた距離感が読み手側に自由な解釈を許しており非常にバランスが良いと感じた。終わり方はちょっと取ってつけたような印象もなくはないし、逆に >ずうん しいん ずうん しいん ずうん からはじまってだんだん「しいん」が多くなって >しいん しいん しいん しいん しいん になる過程が興味深いが、ここでテンポが一気に間延びしてしまっている印象もある。思い切って「時間がとまった・・・」と体感させるほどテンポやリズムを一気に伸ばしてしまうのもありかもしれないと思った。ちょうど耳鳴りがずっと続くような感覚で。余韻の中から「絶景」が立ち上がる感じになっていたら最高に好みだったが、終わりが特徴的な切り方なので、景色が眼前に広がるというよりブラックアウトするといったような余韻を感じた。
0絶景とは何なのか、その意図の半分はアイロニーがあり、感性の感覚には、正負の両方を、思ってしまう ものだとは思います。爆発や銃声というのは、それを絶景ということで、その酷い光景を、感じるためには、 絶景という言い方をすることで、現実を知ってほしい、というような意図があるのかもしれないと感じました。 怯えと怒りと悲しみが、混然となって、その現実を、非難しているのじゃないかと思いました。 部屋の中の鮮烈なイメージと、言葉の一語一語の構築性、技巧的にも新しさがあり、 また、現在へのかかわりを言葉にしているように感じられ、現在の世界に必要な詩だと、 思いました。
0つつみ様 >真っ青な世界に飛び出して飛び散って >うつくしいことばかりだと、いいね この箇所が一番好きだと仰ってくださったことをとても嬉しく思います。 私は詩を読むときに作者の意図、というものをあまり考えません。自由に解釈し、自分の糧となるものを見出し、呑み込むようにしています。 私がそのような態度ですので、つつみさんが「個人的な感想」として私の想像もつかなかった情景や感情を抱いてくださったことに感謝しています。 お読みいただいて、またコメントまでくださってありがとうございました。
0survof 様 >素早いテンポ。かつ生々しくなりすぎないような情景との一歩引いた距離感が読み手側に自由な解釈を許しており非常にバランスが良い というコメント、有難く頂戴致します。 本作においては、歯切れの悪さ、居心地の悪さを意識して書きました。 が、「余韻の中から「絶景」が立ち上がる感じ」に仕上げてるのも作品としてありだなと思いました。いただいたコメントをもとに、試行錯誤していきたいと思います。 お読みいただき、またコメントまでいただいてありがとうございました。
0黒髪 様 >爆発や銃声というのは、それを絶景ということで、その酷い光景を、感じるためには、絶景という言い方をすることで、現実を知ってほしい、というような意図があるのかもしれないと感じました。 とのコメント大変興味深く読ませていただきました。 私は技巧と抒情を上手くからませた詩を書きたいなと常々考えております。ですので、黒髪さんが拙作における感情面と技巧の両面について言及してくださっているのは、とても嬉しいです。 本作をお読みいただき、感想をくださいまして、ありがとうございました。
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