別枠表示
終末医療
切れかかってる電線に 荒地に咲いた たった一つの赤い花 グレーにくすんだ曇り空 視界に映るものはこれだけ 果物畑も何も無い テレビに映るはずっと同じで 1つしかないローカルチャンネル 僕の世界は寂れた田舎 住人1人、旅行者ゼロ人 1日1度の訪問販売 声を出すのはその時だけだ 抜け出したくても抜け出せない 田舎暮らしは寂しいものだ そんな日々がしばらく続いて 真っ赤な花はとっくに枯れた テレビはずっとついたまま そしたらある日唐突に 大きなサイレン鳴り出して 人がいくらかやってきた 僕の世界にこんなに人が やってきたのは初めてで なんだか嬉しくなりました 中には2人、見覚えある顔 父さん母さん久しぶり そう言おうとして口を動かし ヒューヒューとだけ音がする なんだか眠たくなってきた 今はこんなに幸せだから もうちょっとだけ起きてたい あれあれ、意識が遠のいて みんなの顔が悲しそう 「また明日」とだけ口を動かし 空気の抜ける音がして 何故かみんなは泣き顔で 明日もあるのに何故泣くの これまで全く来なかったのに でもありがとう、やっと出会えて 僕はとっても幸せだ 僕はようやく眠りについて テレビの音がようやく途切れて 僕の世界は終わりを告げる
終末医療 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1278.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 579
作成日時 2019-10-06
コメント日時 2019-10-08
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 84 | 84 |
前衛性 | 48 | 48 |
可読性 | 163 | 163 |
エンタメ | 67 | 67 |
技巧 | 55 | 55 |
音韻 | 94 | 94 |
構成 | 68 | 68 |
総合ポイント | 579 | 579 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 28 | 30 |
前衛性 | 16 | 21 |
可読性 | 54.3 | 44 |
エンタメ | 22.3 | 15 |
技巧 | 18.3 | 18 |
音韻 | 31.3 | 33 |
構成 | 22.7 | 23 |
総合 | 193 | 180 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
いくつもの読みが出来る作品ですね。そう言った意味で可読性のある作品だなと思いました。 「終末医療」というタイトル、一連目の「切れかかった電線」~最終連の「終わりを告げる」まで親和性の高い語句を用いて詩を紡いでいることが強度の高さに繋がっているように感じます。 受け身な「僕」が「寂れた田舎」に敗北する作品と読め、詩の主体である「僕」がただただ感傷的に自分が敗北(=死=自死?)するのを待っているだけでなんだか情けない「僕」だなという感想です。受動的な人間(=本作においては、不平不満を抱きながらも行動を起こせず緩やかに満足に死んでいく人間)を批判する作品としても読めると思いました。
0