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死刑宣告、屋上より
確か、あの日に君は首を吊った 次の日綺麗な白の花束が 机に置いてあった そうか、君はだから死んだのかと 私は屋上から飛び降りる夢を見る いつか、人間は死ぬけどさ 死刑宣告を待ち続けるのは嫌だろう? そう言いながら君は 手首の傷を見せつけた 10日、君の誕生日だった その日に遺書が 「幸せでも不幸でもなかった」 「きっと僕は他人と違うから」 「僕は自身で死刑執行を行う」 教室にて蛋白質の塊が発見された 誰か、死んだ理由を知らないか? 掌の画面にニュースが流れて 「いじめ?隠蔽?」 「悲しい、誰も気づかなかったのか?」 ありきたりな言葉が流れていた 「僕はただ『普通』に生まれたかったさ」 屋上でそっと呟いて 風でスカートが揺れる 「友情と恋愛の違いって何だろうね?」 私に笑って問いかけた 初七日、別の遺書が見つかった 「僕は愛してしまった」 「友達で居たかったのに」 周りの人は首を傾げたが 私は意味を理解してしまった 君が生きていてくれているだけで それで良かったのに ただ心が痛かった そうか、やっぱりそうだったのね 屋上で一人笑う 私たち、ずっと相思相愛だった 「愛してる」と言えたらどれだけ幸せか 靴を脱ぎ、靴下も一緒に脱ぐ 足首には大好きな君と同じ傷 スカートが風で激しく揺れる 空は紅く燃えていた そして静かに重力が働き 身体が真っ赤に染まった 私たちは幸せな共犯者よ 確か、次の日のトレンドは 女子高生 百合 恋愛 画面で人々が嗤っていた
死刑宣告、屋上より ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2183.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 18
作成日時 2019-09-28
コメント日時 2019-10-09
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 4 | 4 |
前衛性 | 4 | 4 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 18 | 18 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 1.5 | 1.5 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 1.5 | 1.5 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 9 | 9 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
画像で詩の行の文字で漢字が構成されているのが印象的でした。 いじめ、自殺、相思相愛など現代的な問題が詩にされており 興味深いと思いました。スカートが印象深く描写されており 女子学生の自殺かと思いました。 何となく輪廻転生が夢想されているのかと思いました。
0蛋白質の塊 静かに重力が働き これらの「客観的な人間の死」が画面の中の人々の生々しさ、可視化できない愛に対比し、ずしっと頭にのしかかりました。 難しいテーマですね。勉強になります。
0死について書くにしては乾燥した・淡白な・淡々とした詩だと思いました。なぜかな、と思うのですが、たぶん、景色の描写と心理描写の量の比かな、と思います。とはいえ、心境を迂闊にあらわにしないことは「避けるべき有象無象」に対する拒絶の意志の表れとも読めて、一概に良し悪しということではないです。 死を想ってる感じをだすテクニックに「死者に対する語りかけ」があります。これをやると、失われたものに対する思い入れがめちゃくちゃ効率よく表現できる気がします。また僕が思ってるだけでなくて、戦後詩の原点らしい鮎川信夫の「死んだ男」や、世界的ヒットを飛ばしたレッチリの「Californication」でも実際に用いられています。 と、いうのは別にアドバイスのつもりでもなんでもなくて、最近知ったので嬉しくなって書いちゃったのでした。ご存知でしたらすみません(本当に最近知ったんです…)。あんまりコメントになってないですが、よろしくお願いします。
0>エイクピア様 コメントありがとうございます。 今回は現代で問題視されそうなテーマを詰め込み、女子高生同士が恋愛をし最終的には亡くなるというありきたりと言えばありきたりなテーマを選びました。 スカートの揺れの表記を入れたのは女子高生同士の恋愛だということを示唆する為です。まだまだこれからだと思うので精進いたします。
0変なこと言う人様 コメントありがとうございます。 好きな人の遺体であるにもかかわらず、あえて無機的な表現をするなどと私も無意識ではありますが工夫をしていたようです。自分のことなのに他人事としか思えないという悲しさが込められているのかもしれません。
0>いすき様 コメントありがとうございます。 よく私は死を表現する際にどうしても無機的な表現を使ってしまうなど中々感情表現を出すのにどうしたら良いかなと日々考えています。 死者に対する語りかけ、ですか。書いて下さった文献を読んでみたいと思います。ありがとうございました。
0テーマがありふれたものなので、既存のそれらと差別しにくい詩になっていると思います。ある種の拙さ、言うなれば中二病の延長線上の作品のように見えてしまいました。 文章の濃度を高めるように意識するとより良いものになると感じました。
1>「愛してる」と言えたらどれだけ幸せか 愛してると言いたくても方法もないということは、あるのだと思います。気持ちの全てを、 言うことができて、それによって果たすことができるわけではないということを思います。 自殺のことでは、僕が読んだのは、岡真史『ぼくは12歳』──この詩集では、岡は、「僕は死なない。 何故なら僕は自分自身だから」と言って、亡くなっています。死刑ということについて、似た意味を 僕、考えました。 また、女性の同性愛では、ジャネット・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』という 小説を読みました。 参考までに。 月夜乃海花さんのこの詩では、死刑執行という言葉を使われているのが、独創的であると思います。 >幸せな共犯者 この言葉など、考え尽くしておられ、また、叙情的な描写などの、言葉遣いからは、言語能力も素晴らしい のではないかと、感じました。
0あと「死刑執行を行う」は重言です!
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