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死刑囚の窓
詩集をはぐりつつ 水割りをすする せまい酒場にて 男が問う 詩人か? いや、まぁ 死刑囚のように 窓を見上げて 切実に詠むのか? いゃいゃいや…… 生家は旧家か? 地主か? 医者か? 官吏か? 学者か? 商家か? 酒蔵か? 網元か? 銀行家か? 裕福か? いゃあ、フツーの家です 五体は満足か? 気ぐるいか? ましてや朝鮮人か? いや、まあ、フツーのニッポンジンです ふぅうん、そうか でもまぁ……死刑囚のようなものですが おれも同じだ 詩集をなでる
死刑囚の窓 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1786.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2019-09-05
コメント日時 2019-09-11
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 4 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0.3 | 0 |
可読性 | 0.7 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 1.3 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
行頭にスペースを入れてインデントの位置を変えている詩は多くあるが、そのほとんどがスマホで閲覧する際にレイアウトが崩れてしまっている 意図的かどうかはわからないが、この詩は一行ごとの文字数が少なく、レイアウトの崩壊を免れていて、そこは他の詩と比べて上手いなと思った 実はビーレビユーザーの7割以上はスマホにて閲覧しているから、それにてレイアウトが崩れないようにすることは必須だ
0「いや」の使い方が上手いですね。コミカルであり、、最後までコミカルな気持ちがいいですね。
0五体満足か?気ぐるいか?に並んで朝鮮人か?との問いかけがなされているので、時代設定として昭和初期から中期をイメージしました。淡々と繰り返す短い質疑から、詩中の二人が割り切っていながら、人生に相当倦んでいるのが分かる。そしてそのことを明示するかのように、ラスト「まあ……死刑囚のようなものですが」「俺も同じだ」と来る。乾いていながら、そこに絶望はない。ただ淡々と生きる意志、諦念のようなものがこの詩にはある。タイトルを含めかなりの傑作だと思う。
0~のように、~のようなもの。詩集を愛おしそうに扱う。リアルに考えて、いろいろな死刑囚が居るとしても、怒涛の質問攻めの様にも見え、詩集が霞んでいくようにも思えました。
0渡辺八畳 さん み う ら さん Mr. stereotype2085 エイクピア さん どうもありがとうございます。 問いかける男は 酒気を混じえて 旧弊な《詩人たらしめる資格》を 突きつけてきたのです。 狭隘で摩滅した時間しか手にすることができない 凡夫でしかない自分には 人生を浪費するために支払う資力は無いし 心身欠落も無く 罹災者でもなく 虐待されず、虐待もせず 鬱屈をいだく異民族でもなく まして、女でもないし、ゲイでもないし 小児性愛も知らない。 無資格のヤミ医者なら無頼も気取れるけれど ほんとうに、只(ただ)の人に 詩は何をしてくれるんだろう。 詩に何ができるんだろう。 イタい詩人かぶれに すぐに興味も無くした男は 手元のスマホに指を走らせます。 暗い酒場にうがたれた、小さな矩形の窓になって そこは光があふれ 届かないシャバにからの風を集めるために 広げた手をかざしています。 ──おれは死刑囚で これが独房の小窓だ。 ほんとうのシャバは この窓の向こうにしかない。 あんたも、みんなも この窓から外ばっかり見てる。 詩は何をしてくれるんだろう。 詩に何ができるんだろう。 今日、新型の「死刑囚の窓」が売りに出された。
0相手の問いかけが作者さんも書かれていますがまさに昔の文豪とか詩人についてまわるイメージですね。死刑囚の窓、というタイトルに惹かれました。 死刑囚と同じ言葉を交わしても作中の二人の間に流れるものが共感のようで共感でない。そんな印象でした。
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