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離反
こうして今日 突然 日差しが強くなったことは この暑さとの関係もなければ 物の陰影が こんなに物々しく 濃くなっているはずはなかった (ここしばらく視ることのできない僕は ものの濡れた表面が日光を液状化させて含む あるいは一斉に僕を見つめるような 眩しい視線と感じる) 幻想世界が無意識の外側で 秘密裏に構成されていた 水のような自身への離反に 突如突き当たったと感じるこんな孤独感は 僕がひとりきりであることとは とても関係の繋げない満足感を 現存性へ導入する 日傘をさした若い母親は 娘とも息子ともつかない 娘を脇に置いて 立ち止まる 僕をものとして視ていればこそ そうして二人 とつぜん小さな畑の脇に佇み 母が娘の顔を 手で扇いでみることだって 僕の内的構成のもっとも大きなものに 照らされるように あるいは反抗までされるために 今日の仕事は 稀有の 昼すぎに終わり 帰ってきた道ではなかった それでも僕の可塑性が まるで一定の反発性を持ったもののように 昨日より よく眠ることを 考えて帰る道に 青白い肺の 大きく広がる 一呼吸を持つことは
離反 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 866.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-06-03
コメント日時 2017-06-29
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
一連目の、不思議な文法というのか・・・ぎくしゃくする語尾に、面白いアクセントがありますね。 全体的に、あえて言い差したような語尾であったり、一つの述部に複数がかかっていくような、複雑に絡まるような構文が、読むときの適度な摩擦、流れていかないためのストッパーになっているように思いました。 「こうして今日 突然 日差しが強くなったことは この暑さとの関係もなければ(○○との関係もない) 物の陰影が こんなに物々しく(見えるのはなぜだろう) (物の影そのものが)濃くなっているはずはなかった」 そんな、言外の何か、を感じます。 物の陰影が、「物々しく」濃くなっているように見える。しかし、そんなはずはない。影自体が、色を濃くする、なんてことは、あるのだろうか?自分の物の見え方、世界の見え方が、変わってしまったのか。あるいは、自分に対する世界の在り方、接し方が、変わってしまったのか・・・ 物々しい。音で聞くと、なにか物騒な感じ、なにか不穏な予兆に身構えていく感覚がありますが・・・そういえば、なんで「物々しい」と書くのでしょう。物騒、これも、物が騒ぐ、と書くのか・・・事物が蠢きだす。そんな不気味さが押し寄せて来る、感じなのかもしれないですね。 「ものの濡れた表面が日光を液状化させて含む あるいは一斉に僕を見つめるような 眩しい視線と感じる」ここもまた、なんとなく不思議な文法、言葉の掛かり方です。 日光を液状化させて含む・・・濡れて光る質感を、このように表現する・・・素敵ですね。含む、は眩しい視線、にかかるのかな・・・。 自分を取り巻く「事物」が影を強め、てらてら、ぬらぬら、光りながら、自分を見つめて来る。凝視してくる、監視してくる・・・ここしばらく、自分を取り巻く世界を正視できなくなっていたのか。視ることができなくなっている。この体感が、独自に捉えられている一節。 幻想世界が~この一節、ごつごつした漢語の観念語がぞろぞろ出てくるあたりに、自分の「世界の視え方」あるいは世界からの「視られ方」が変わってしまった、その違和感や孤独感を、なんとか理解しよう、整理しよう、とする意識の働きを感じました。 「僕をものとして視ていればこそ」僕、が、他者によって「もの」(物、まではいっていないけれど)として見られてしまう、あるいは人間存在として認められず、道端の石や木のように見過ごされてしまう。その、他者の視線が自らに留まって行かない、素通りしていく感覚が、孤独、と表現される感覚なのだ、と腑に落ちる。語り手が今、自分で感じている、自分だけの孤独の質感が表現されていると思います。 自分自身の肉体の内部、内臓感覚、そうしたものに、照らされる。自分の肉体を意識しつつも、自分の心や感覚を意識できない、なにか、心もとないように感じる・・・それは、眠れない、という問題とも絡んでいるのでしょうか。 私ごとですが、ここ数日、悪夢に悩まされてノイローゼのようになっていたので(^_^;) 自分の感覚に引き寄せすぎているかもしれませんが、自身の感覚を、独自に表現している、秀作だと思いました。
0ありがとうございます。去年の夏頃に、宮沢賢治のように身体の外と身体の内が、自分の外側で手をつないでいるような眩かしの感じを表現したいと思って作った意欲作(?)です。 早く帰ってくると帰り道が、いつもの道ではないように感じる感覚を基礎にしています。あの特有の爽やかな感じ。 同様のテーマでいくつか書いていますがどれも自分にとっては特別なものです。
0なんだ賢治か?と思ったらやっぱりそうだったので残念。 「幻想世界が無意識の外側で」 ちょっと何を書いていらっしゃるのかわかりかねる。 重さと軽さの問題だと思うが、観念の言葉を使用するとして行数を割いてない印象です。
0ありがとうございます。 読みにくさを克服したいと思っています 賢治か?と思っていただけたらありがたいです 僕は観念語は生のままで詩的だと思ってます
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