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倉田君
ほどけそうな靴紐、私はいつもほどけてから結び直す。絶対にほどけるのが分かっているのに、ほどけてそれに転けてからでないと私は靴紐に手を伸ばさない。 少し知らんぷりして歩くと案の定ほどけた靴紐は私に絡みついて中々逃がしてくれないけれど足首に絡まる靴紐の感触が心地よかった。行く手を阻むものがあって上手く進めないこの状況が。 私が怠けるための理由が私であってはならない。その為には私ではない他の事象が理由でなければならなかったのだ。 私が今でも倉田君の彼女ではないのも、いい歳してセフレ止まりなのも、つい、倉田君を受け入れてしまうのだって、全部、全部倉田君のせいだ。私の足首に倉田君が巻きついて中々離れてくれないからである。 倉田君は私をくすぐったり、転けさせてみたりする。時には流血する事もある。前に私が結び直してやると倉田君は私の方を見なくなってしまった。私に触れなくなった。夜中に呼び出される事もなくなった。私はそれがとても嫌だった。私は何にも邪魔されず進む事がで出来るようになってしまったのだ。 私はズンズン進むけれど、いつかまた倉田君に呼ばる事があったら、私は全てを投げ出して彼の元へ全力疾走する。転んだって、頰に泥がついたって、流血したって、彼は汚れた頰を手で拭ってはくれないと思うけれど、そんな私を見て爆笑はしてくれると思う。それでいい。私を呼んで笑ってくれればいい。倉田君の感情が私に向かっているのだったらどんな形でも私は嬉しく心地よく感じてしまうと思う。
倉田君 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1371.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2019-08-10
コメント日時 2019-08-21
項目 | 全期間(2024/12/26現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 2 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文