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青煙
淡き、白純なるそなたの肌を愛でるとき、わたしは琴の音が幽玄なる天界から届く気がする。一閃の、刹那の調べが、そなたの豊潤なる乳房から、緩やかな曲線を描く窪みから、霹靂なる刺激の抑揚が、わたしの素朴な血肉へ迫りくる。滴る汗に、潮騒の幻影を見たなら、そなたはゆうゆうと、翳り無き海原のように、わたしを誘う。美しくも、妖艶なる、黒き髪の弦を撫で弾けば、それは広がりを見せ、一つの琵琶に見えた。紅に、眉に、瞳に、頬の艷を、今一度、垣間見る。それらは新海から打ち上げられた神秘のように見え、項垂れた横顔は、そなたを真珠にする。そして、そなたのすべての秘境に、この身を差し出し、飛び込む。昇り上がる鯉のごとく。昇天する魂のごとく。清らなる流れが、二つ川を合わせ、真の海原へと変貌してゆく。息が雲を飛ばし、開かれた口は扇となる。やがて海原は火照り、蒸気に満ち足りて、青煙のよう、世界を充満させてゆく。潮の薫りを帯びた煙は、留まることを知らず、夜闇に靡く風に憧れる。黄昏ゆくままに、豊潤なる空に、果てるまで、消え失せるまで、惜別すべき今を、衝突すべき未知を、空の海へと、いま、ゆかん。
青煙 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1532.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 14
作成日時 2019-08-03
コメント日時 2019-08-25
項目 | 全期間(2024/12/26現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 8 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 14 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2.7 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.7 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 1 |
音韻 | 0.3 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 4.7 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
良いなぁ…… 荘厳な言葉遣いと、丁寧な描写、美しい情景(何をしているのかは大体想像がつきます)。比喩の面ではかなり優れていると私は思います。
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