遠い国から - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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遠い国から    

魔都と呼ばれたあの街も、いま思えば懐かしい物語の舞台。 赤煉瓦の駅舎にある小さなバー。目抜き通りを見下ろすスペイン居酒屋。下町の雑踏と中古カメラ屋。そしてなにより、広い空のある大きな公園。 心踊る冒険のために、わざわざパタゴニアやアフリカまで出向く必要はない。 迷宮のようなあの街で、ぼくたちは冒険にどっぷり浸かっていた。 週末ごとに変装し、犯罪の臭いのする裏町を歩く。タクシーを乗り継いで尾行する。 血みどろの殺人事件も行方不明の捜索依頼もないけれど、ベーカー街の下宿を出た二人のように、肩を並べて寒風の中を歩き、見えない足跡をひたすら追い求める。 手がかりはかすかな記憶と嗅覚。いたるところで証拠写真を撮り、同じ道筋を幾度も歩いてみる。時に泣き、時に歌い、時には古い神社を訪ねてタイムマシンに乗り込み、一挙に三十年ほど時間を遡る。 あの遠い街でぼくたちが探していたものは、いったい何だったのか。かたつむりの言葉で書かれた聖骸布の謎。夕暮れの東の空を翔ける、黙示録の白い馬。それとも──。 目覚めるとここは、運河に囲まれた西方の街。 海風が吹く橋をわたり、地下道をめぐり、慌しく一日の仕事を終える。 ときにギターの譜面を眺めながら、記憶の糸をたどる。 三度目の春を迎えた雨上がりの夜、久しぶりに分厚い調書を開くと、そこにあるのは古いレンズが写し取ったあのオリエンタルな街並み。 謎に満ちた迷路のような、懐かしさが香り立つ廃屋のような、ひっそりと封印された夢の書き割り。


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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1279.6
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投票数   : 0
ポイント数 : 2

作成日時 2019-07-27
コメント日時 2019-07-27
#テキスト
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性22
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント22
 平均値  中央値 
叙情性22
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧00
音韻00
構成00
総合22
閲覧指数:1279.6
2025/04/12 00時34分34秒現在
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