勝手な客 - B-REVIEW
新規登録
ログイン
PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



作品を
別枠表示

勝手な客    

この寂しげなショッピングモールは今、私が一番落ち着く場所だ。食品売り場にしても、洋服売り場にしてもディスプレイが甘く気が抜けている、これはクレームではない。褒めているかなり。 私は小洒落た店が苦手だ。駅ビルの中にある気取ったブティックや、やたら明るくて、真っ白なフロア、宝石の様に陳列された化粧品たち、至る所にある鏡は勝手に私を映し出す。本来私が選ぶ立場にあるはずなのに、この様な場所では物に自身を品定めされているような感覚に陥り上手いこと買い物を遂行できたことが無かった。しかしそれら全ては私の自意識過剰から来ているもので、洋服は感情を持たないし、化粧品たちはただの化学物質だ。口紅なんて保湿成分が加わったロウソクではないか。こんなくだらない考えをたった1人で巡らせているのも自身の自己肯定感の低さ、少しジメジメした性格が問題なことは分かっている。だけれどそれと同時に自信過剰で、いつも太陽みたいに明るく時よりイラっとさせる奴より1人で自問自答を繰り返し、勝手にジメジメしている私の方がマシではないか?と開き直っている傲慢な私もいるのも事実だ。この様に私は日々、小洒落た店問題及び自身のこじれ方について頭を悩ませている。その点例のショッピングモールでは商品たちはしっかり商品としてのみ存在していて、客を品定めする様なことはない。気持ちの良い時間が過ごせる。私もなんだか同じマネキンでもこっちの方とは仲良くなれそうな気もする。マネキンはのっぺらぼうであるが、表情は個々違うのである。駅ビルのマネキンは確かにマネキン以上のマネキンだった。こちらのマネキンはマネキン以上でも以下でもない。覇気がないのだ。余計な期待をしていないのだ。こちらにも何も求めてくることはない。 ここには何かを諦めたその風貌に心地よさがあったのだ。大好きだな、ここは無くなってほしくないな、リニューアルとかやめてほしいな。勝手だけれども。


勝手な客 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1424.3
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 4

作成日時 2019-07-08
コメント日時 2019-07-11
#テキスト #酷評OK
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
叙情性11
前衛性00
可読性00
エンタメ33
技巧00
音韻00
構成00
総合ポイント44
 平均値  中央値 
叙情性0.50.5
前衛性00
可読性00
 エンタメ1.51.5
技巧00
音韻00
構成00
総合22
閲覧指数:1424.3
2025/04/11 23時54分59秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。

    作品に書かれた推薦文

勝手な客 コメントセクション

コメント数(0)

B-REVIEWに参加しよう!

新規登録
ログイン

作品をSNSで紹介しよう→

投稿作品数: 2