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わたしの棲む私の国
ここは私の国ではないから わたしの言葉は通じません 何を言われているのか言っているのか 水の中で互いにぶくぶくしながら ただただ息苦しくてしがみついてたから 爪は剥がれ肉も削げて皮膚のしたには 鱗がきらきら、いつの間にやら鰓呼吸 澱んだ海に棲むものになってしまいました 海面へ遠ざかっていくあなたは とても正しい発音で話している でもそこも私の国ではありません さよなら、に 白紙の手紙だけ残して さらに深く深くどこまで いけばいいのでしょうか あなたの言葉を創造して あなたもわたしの言葉を 創造して背中合わせで 生活のふりをしていた こしあんだとか つぶあんだとか そんなつまらなさ 泡になってきえて 私は私の国を編んで たくさんの貝たちに 息を吹きこみ 痩せて尖った 剥き出しの骨は 魚たちが 密やかに啄み 段々と丸くなり 今ではもう優しい眼をした 鯨だって描けるのです ここは私の国、わたしが わたしの言葉で編んだみな底 歩き続けていつか陸へと戻る 陽の光が息を吐く場所で こしあんを食べようが 粒あんを食べようが 自由なんだ でも私はうぐいす餡が好きなんだよ 知ってた?
わたしの棲む私の国 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1778.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 625
作成日時 2019-05-07
コメント日時 2019-05-28
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 112 | 112 |
前衛性 | 5 | 5 |
可読性 | 186 | 185 |
エンタメ | 192 | 189 |
技巧 | 18 | 16 |
音韻 | 83 | 83 |
構成 | 29 | 29 |
総合ポイント | 625 | 619 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 18.7 | 0 |
前衛性 | 0.8 | 0 |
可読性 | 31 | 1.5 |
エンタメ | 32 | 2.5 |
技巧 | 3 | 1 |
音韻 | 13.8 | 0 |
構成 | 4.8 | 0 |
総合 | 104.2 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ロマンティックに始まって、その世界に身を任せていたら、アンコにひっくり返されました。 で、気を取り直して、再度素敵な言葉にうっとりしていたら、またもやアンコに投げられました。 トリッキー・・・・(汗)。
0佐久 乱 様 アンコに投げられ、ひっくり返され、いやなかなかに楽しんで頂いたようで嬉しい限りです。濃い雰囲気の作品かと思うのですが、どこから餡子が流入したのか書き手にもわかるような、わからないような 笑 ありがとうございます。
0うぐいす飴が何を指しているのか、実力不足で読み取れませんでした。 個人的には前半が好きです。 >水の中で互いにぶくぶくしながら が上手い表現だと思いました。
0生活の上で、お互い会話をするが本当に対話が出来ているのか、本当の意思の疎通が出来るのか、という意味が入っているような気がしました(多分私がズレてます笑)。 とても興味深い内容でした!
0ふじりゅう 様 餡子も人間もいろいろでわかり合うことは難しいですね。そんなことを考えながら書いたのかと思います。ありがとうございます。
0せいろん 様 結局、同じ言葉でも捉え方や価値観の違いなんかでわかってたつもりでしかないことなんて多々、あると思います。また相手の言葉や考えより社会で正しい(本当に何が正しいかなんて怪しいですが)と思われている、あるいは正論でも"わたし"にとっては違ったりすると思うわけです。 このわたしとあなたが互いのことを実は何も知らなかったんじゃないか、などと自作ながら読み返して考えたりしました。ありがとうございましま。
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