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光の末端
夕方にバスに乗るのが好きだ。冬場だと、16:47分光は繊細で、儚く扱いにくい。バスの窓から差し込むオレンジが、眩しそうに目を細める君がとても美しく危うかった。今にも光に飲み込まれてしまうほどに君と光は一つになっていた。 春はあけぼの太ももの上にうなだれている女は甘ったるい香りを、バニラだろうか、この手の香水は苦手だったが、彼女のはどこか幼く、瑞々しかった。甘えるように僕の手に触れたと思えばするりとかわしどこまでもゆらゆらと、ぬらりくらりと、あぁ、僕は彼女の隣を歩くことはできないのだな、指を絡ませ離れないように手を繋いでも気づいた時には彼女はアイスのように溶けて甘い香りを後に僕の前を行くのだな。いくら大人の接吻を交わそうとも、甘く乱れた呼吸を共にしようとも、彼女は僕のものにはならない。僕の上で憐れな姿で太々しく眠る彼女のまつげに、サラサラと透き通るような頰に、瑞々しく真っ赤に熟れた唇に、君の愛しい全てに僕は溺れている。
光の末端 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1021.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 3
作成日時 2019-03-06
コメント日時 2019-03-06
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 3 | 3 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
>春はあけぼの太ももの上にうなだれている女は甘ったるい香りを、バニラだろうか、この手の香水は苦手だったが、彼女のはどこか幼く、瑞々しかった。 「春はあけぼの」から途切れなく読点まで綴るところもいいし、最初の読点以降も良い
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