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あげない。
赤い屋根を忘れさせない 本当は赤くなかったかもしれない 橙、或いは褐色の破片が 散りばめられたあの空間を あなたには 忘れさせて あげない 存在が消えた訳でもないのに 漢字はカタカナに変わっていきます エレベーターか エレベータなのか そんな些細な違いでしょうか 先生、先生、先生、先生、 先生は消えてしまいました カタカナの先生には ミスターが付くので 『先生』も消えてしまいました 褐色の同級生は 屋根から生まれてきたのですね 多国籍文化は素晴らしいものなので 先生の名前を、いまはまだ呼べません ただ、冠や偏と旁をなぞって 明日も明後日も待っています 赤く赤く見えたのは 火曜日に発狂した小林君です 愛されるために生まれてきたのに 愛されなかったと泣いていました 讃美歌の楽譜は残酷です 礼拝堂で使う拡声器を 誰も良しとはしていませんが こんにちも元気よく電気コードを伸ばします 橙、或いは褐色の破片を 一枚一枚剥がしていっても 先生、先生、先生、先生、 先生の名前をなぞって 拡声器越しに息をする あなたには 忘れさせて あげない
あげない。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1239.2
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 5
作成日時 2018-12-17
コメント日時 2018-12-23
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 2 | 1 |
音韻 | 1 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 5 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 2.5 | 2.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
効果的なフレーズの島々が浮かぶ抽象度高めな海洋というイメージ 調子いいときは飲み込めるんだろうけど、そうでないときはも少しイメージを実像として成り立たせるような書き方を欲してしまう。
0某大学の研究室では、日本語が話せない留学生も教授のことを「○○先生」と呼んでいました。 拡声器というのはSNSの比喩なのかな、と思いました。デジタルアーカイブ的な、忘れさせて あげない。
0これはかなり良い、というか面白味のある作品なのではないだろうか。学校や大学と言った閉鎖的でまだ小さなコミュニティで発生する狂気のようなものを感じる。実際詩中でも小林君が発狂したとの記述がある。そして同時「忘れさせて あげない」を連呼する詩の話者にも狂気めいたものを感じる。全てが閉ざさていて不穏。そのイメージを短い詩の中で喚起するのに成功している。中々に良いのではないだろうか。
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