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スケッチ
その静かで端正な住まいへの 親しみをなぞれば ガラスコップの丁寧な歪み の、縁に沿うほそやかな接線 するやかな光スケート 片足あげてすべらかな速度 白き台所の臨海点へ優雅 確かな流しに箸と皿 金属製の蛇口は寡黙 とつり、とつり、雫、とつり つと風 香木聡くけむり 洗濯物青くそよぐ
スケッチ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 852.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-08-07
コメント日時 2018-09-03
項目 | 全期間(2024/12/27現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
簡潔な表現ながら、全体に不思議な柔らかさが漂うのはなぜだろうと考えました。 するやか、光スケート、というような、質感や情景はきちんと伝わる(伝達性を保持した)造語、とつり、というユニークな擬音、体言止めといっても、個物の名称ではなく状態の名詞で止めるセンスが印象に残りました。 2連のSの響きが、3連目ではtsuの響きへと変化していく。そうした音の変化も、丁寧に言葉を吟味した結果であるように思いました。 「香木聡くけむり 洗濯物青くそよぐ」文語的な言い回しが、意識的に形を作る技巧性を感じさせるのではないか、という思いもありますが、漢字を頭にまとめ、ひらがなにやわらかくほどいていくような文字の配列がもたらす印象は、背筋を伸ばして丁寧に生きている人の生活感と柔らかな人柄(の印象)を反復しているとも言えます。 職人の手作りの(恐らくは青をべーすに、気泡の少し入った)厚手のガラスのコップの質感や、丁寧に磨きこまれた金属の蛇口からにおいたつ、スタイルを持った生活の感じは、『西の魔女が死んだ』に出てくる英国出身の老婦人の家や、写真で見たことしかないのですが、茨木のり子の家の雰囲気を思い出したりしました。 旧態依然となり勝ちな写生の詩に、独自の擬音や造語的な表現を持ち込んで新鮮な息吹を与えた好例だと思いました。
0まりもさま コメントどうもありがとうございます。丁寧に時を重ねた古い建物の一室をイメージしたもので、その雰囲気を汲み取ってくださり、とても嬉しいです。 生々しい心理描写をせずとも、事物のスケッチ描写のなかに、ひとのパーソナリティーや内面を表現したく思っており、このようなご講評をいただき、ほんとうに嬉しいです。
0とつり つと風の心地よさ。とても柔らかで、音韻豊かな詩ですね。この詩は生活空間の描写で構成されていますね。スケッチという題に合うよう、柔らかな描写から端正な暮らし、心地よい家に住まう人が想起されました。淡々としてきながらも、気持ちに訴えてくる柔らかさが素敵だと思いました。
0ヤエさま コメントをいただき、どうもありがとうございます。 音の響きを意識していたので、そう仰ってくださることは嬉しいです。事物や風景の描写から、ほのかに人物像や心情を想起させる作品を、今後も作っていきたいです。
0こんにちは。《確かな流しに箸と皿》。この一行はとても良いですね。「確かな」の一語が決定的で、「流し」に、「箸と皿」に、実在感を与えています。
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