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見えない向こう
見えない向こうに手を入れ 手探りでバンドをひっかけて 命を引く 膨らみが縮んだ時 一つの命につながる綱 力の限り引く 水が穴から流れ出す あの奥の見えない命は まだ出ない ずっとうめく声がする ここへこの世への 綱を引く 緒はもう切れた この奥でもう生きていくことはできない あの世へ引かれる 奥歯軋ませ 悲鳴の中 行われる命の綱引き 膨らみが縮んだ時 粘液流れる穴の その奥から この世へ 引く 脚が出た 後ろ脚だ 引け引け引け 膨大な粘液と共に流れ落ちる 止まりかけの呼吸は この世を吸い込む もう開いて見る この世界は何に見えるだろう この先何があるかわからない ただ今は 光が祝福する 母牛は立ち上がり 母乳を垂れ流していた 子牛は顔を上げ 覗きこむ
見えない向こう ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1376.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-07-19
コメント日時 2018-08-14
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
常に安定した水準の詩を載せている詩人の一人ですね。 牛が出てくるとはなおくんかあなたを思い出します。 この詩は今月の5or6賞です。 おめでとう。
05or6さん、こんにちは。 そう言って下さるとは。励みになります! そういえばたまに牛が出てくる詩って投稿されてますよね。 今月はエイクピアさんも牛を出しているし。 詩にしやすいのか? 牛って。
0自然の神秘は言葉で綴ることができないものと思っていました。私のなかの常識がいい意味で覆され、文字の力の底の無さに気付かされました。感動して、涙が出そうでした(ほんとは少し泣きました)。簡潔な文章の中に目一杯の「生」を感じました。素晴らしいの一言。素敵な作品と出会うことができ、心から嬉しく思います。
0なつめさん、こんにちは。 牧場従業員なので、たまにあることを詩にしました。 (逆子って大変なんですよね。まだ酪農家が対応できる範囲とはいえ) だから書けたのかなと思います。 そしてそこまで評価してくださるとは。 詩作と仕事、頑張ります。
0命が、途切れるか、と思ったところで・・・ 無事、生まれてよかったな、と思うと共に。 〈この世への/綱を引く〉簡潔な一行ですが、鬼気迫るものがありました。 〈あの奥〉が、宇宙空間の闇のような・・・底知れぬ場所へとつながっているような感覚もあります。
0まりもさん、こんにちは。 年に何回かあることなんです。逆子って。 その度に大変な思いをします。 >ここへこの世へ >綱を引く 実際にそうなんです。逆子だとヘソの緒が切れてしまい、窒息してしまう危険性があるので。 実感がこもっていたのかもしれないです。 牛が産まれてくる<あの奥>、ビックバンが起こっているかもしれないですね。
0はじめまして。 いいなって思いました。牛が好きだからってのもあるのだけれど。 たとえばタイトルが、最初の一行から持ってきた「見えない向こう」ではなくて、最後の一行の「覗きこむ」であったなら、なおのこといいなと思った気がします。私の勝手な好みなんですが……。
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