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母、帰る
母が 死んだ 母が くたばった 涙 涙の 別れ だけど 泣いてばかりも いられない さあ 通夜だ 葬式だ 埋葬だ この地方じゃ 決まって 土葬だ 冷たくなった 母に 別れを告げ 棺おけを 見送る 涙 涙の 別れ でも それは 始まりだった 次の朝 母が帰ってきていた 死んでいたが 帰ってきて 台所で寝ていた 慌ててまた 埋葬したが また次の朝には 帰って来ていた どんなに棺おけに 釘を打ち込んでも 縄でグルグルに巻いても 無駄だった そこで土葬を諦め 火葬することにしたが 不思議なことに 母はどんなに焼いても 燃えなかった 海に流す水葬を試したみた 帰ってきた 鳥に食わせる鳥葬を試してみた 逆に鳥が食われた 困り果てていると そこにNASAに勤めている 末の弟が帰ってきた 事情を話すと それじゃあ宇宙葬にしよう ということになった 母はケネディ宇宙センターから打ち上げられた やれやれ これでやっと 母も 星となれるだろう そう思って 家で母を悼む 飲み会を 親族みんなで 開いていたら 流れ星が 家に直撃した 母が帰って来たんだ
母、帰る ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 863.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-04-29
コメント日時 2018-05-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
根底にあるのはペーソスではなく、母の強さをわずかにシニカルに、基本的には女性たる彼女のもつ強さを賛美していると思う。それも男根主義的な価値観の優勢な世界にあって、女性にとっては単なる障壁にもなりうるその価値観の壁を、家「婦」長として家を切り盛りしながら笑い飛ばしていた肝っ玉母ちゃん的な人物像が容易に想像できる。「あたしンち」の母のような人だろうか。あたしンちを見たことないけど。 おそらく彼女の夫は、仕事はして生活の糧は稼いでいるけれど、大変影の薄い人なのだろうと思う。そういう家「父」長像は、多分だけど、80年代くらいから色んな媒体で描かれてきたんだろうと思う。だからそれを当然の前提とし、この作品中には、妻の不死身っぷりに右往左往する夫さえも描かれていない。このような夫(父)像が今日、なお有効なのかどうか、興味がある。またあるいは、夫はその存在を措定さえされていないのかも。受難やね。 上手にまとまっている作品だと思う。子供受けしそうと思うけど、どうだろう。棺桶からの脱出はベアトリクス・キドーみたいにやったんだろうか?
0小気味良いショートショートを読んだ気分です。最初は母の束縛かと思いましたがすぐに、その軽ささへ感じる母の現れ方に、笑えるシニカルさを感じました。軽やかな読後感ですね。
0感想ありがとうございます!笑い要素が好きですし、とにかく軽くライトにしか書く実力がないのでこのような作品を書いております。また、ご指摘の通り父親の存在感が0ですね。作者でありながらそのことに初めて気がつきました。父親はきっと死んでも生きてもいないんですよ。そもそもいないものとして書かれている。本作の無意識な裏テーマは「父親の不在」なのかもしれませんね
0アニメ映画のサマーウォーズみたいな 家族一丸感覚を 感じました。 たのしかったです。
0自分としては「浦安鉄筋家族」(チャンピオン連載のドタバタギャグ漫画)を思い出しました。 この漫画、しばしば女性が異様なほど強いですし。
0アート・芸術の詩作品と並行してマンガやアニメのように読める詩作品って言うのもあって良いと常々思っているので嬉しいです!
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