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遊泳、影
薄月夜、幽寂として闇に固唾を飲む 天井より壁へと物憂く遊泳する朧げな影 時の水路を遡ってみろと無言の問いかけで 追憶の汀へと尾びれが誘う 池の畔の賤が屋では母が あるいは小学校教室の教壇から見下ろす担任が 錦鯉の化身となって昼日中現れる 朱の紅、潤んだ漆黒の瞳が色彩の暗示として 眉間の深い縦皺に忌々しさを湛え 咎めの眼差しは呪詛で矯めようとする軛だ 暮れんと黒い帳が被いはじめる頃には役目を終え 仄暗い池の水底へ戻るのだろう 忍びやかに飛沫も上げずに月影、星影を僅かに揺らめかして 寝室の薄闇の汀に還れば 旧びた想念の波紋は愁眉をひらく 幻影も面影も砕き消し去らめ泡影と化す すでに逃れているのだからもう恐れることはないと 嘯いてみる
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遊泳、影 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 338.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-19
コメント日時 2024-12-23
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
影は拭いきれない記憶や過去の自分を象徴しているのだと感じました。語彙の選択は鮮やかで、リズム感もあり、非常に手慣れた印象を受けます。ただ、漢字が多く使われ、全体的に硬く締められているため、読む人によっては難解に感じるかもしれません 個人的には、完成度が高く構成もきっちりしている分、広がりに欠けている印象を受けました。読み手が自由に想像を膨らませる余白が少ないため「それで?」と感じてしまいました。ただ、この詩の意図が「その完成された形そのものを見せること」であるならば、それもまた一つの美しさであると理解しました。次もぜひ拝見させてください。楽しみにしています。
1記憶の禍々しさがあるのでしょうが今となっては過去であり、そこが描かれて無いことに不足を感じた。全体的には流暢でお上手です。
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