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薔薇のマスク
光ある春の日に、白いマスクをしていくのが嫌だった 空気を生身で感じたい 布越しに生気を通さないで 毎日同じ日が続き、精神が疲弊してしまった頃 ダイニングテーブルに突っ伏す私の元へ母がやってきた 母の姿はガラス窓で逆光となっていて 暗く表情は伺えなかった 私の鼻先に差し出されたもの それは小さな薔薇の刺繍の施されたマスクであった 目を見開き、驚く私に 母は「お前の為に縫った」と口にした 私はそのマスクを己の額に当て たださめざめと涙を流しながら ゆっくりと微笑んだ 後日、白地に赤い薔薇の刺繍を施したマスクを着けた私の姿は、近所で噂となり 真似をする人が増え 「薔薇の花を咲かせたマスク」は町の名物となった
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薔薇のマスク ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 414.4
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-12-07
コメント日時 2024-12-08
項目 | 全期間(2025/01/18現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
情景をはっきりと描写することができる詩だと感じました。 特に詩の始まりの部分から、 コロナ禍からずっと毎日マスクをつけるようになって、空気を肌で感じたいけど、マスクを外すのをよく躊躇ってしまうなぁと...。 私の生活にもそのようなことがあるなと思い出しました。
0此の度は、歌誌「帆」自由詩掲載欄へとご投稿を賜りまして、允に有り難うございます。 未だ、ご応募受付開始よりは間がございます。 暫し、(凡そ、冬季=年始頃・即ち後一箇月程後に始動との計らいでございますから、その時分迄。) お待ち下さりますと嬉しく存じ上げます。 御作を、拝読させて頂きました。 実存主義に寄られました、修辞主義的作品であると感受を致しました次第でございます。 即‐時代性を具えになられた主題も、文体‐筆致も恙無く、上手であると感受を致しました。 一種、象徴的な読み(「顔」の判別出来ぬ「母」より手渡されましたのが「薔薇の刺繍」の施されましたマスクである、とう骨子等) も出来得る御作であらせられると。例えば「母」ではなく「父」であったなら、或は「祖母」や「祖父」であったならば、 作品の色合いも変質をしてしまいます事でございましょう。 それら事物の配置の妙をも弁えていらっしゃられますので、スマートに通読をし得る内容となっていらっしゃられる。 小品ではございますが、纏まりの佳く、過不足なく読み売る作品であらせられると。 此の、時代性に副わず、かと申しまして単純な抵抗には寄与をせざる、丁度良い落とし処へと作品を昇華為される技巧は、中々手堅いのではないでしょうか。 次回作も期待を致して居ります。何卒、復ご応募を下さいますと心嬉しく存じ上げます。 それでは、復のご挑戦をお待ち申し上げております。 此の度は、ご応募ご投稿を賜り、允に有り難うございました。
0文章自体は長いですが、スラスラと頭の中に情景が浮かんできます。わかりやすい語句や表現力がそうさせたと感じています。
0こんにちわ。 さまざまな耐え難い事が おこるものですが、そんなとき その瞬間を 美しくする この詩のマスクのような 人を温めるものを、私も つくっていきたいものだ。と、感じました。良い ひとときを ありがとうございます。
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