生と死 - B-REVIEW
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ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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生と死    

あなたが死ぬのも、忽然と消え去るのも、 それはあなたの勝手だか、 愛新覚羅溥儀が、今際の際に食べたがったのは、 インスタントなチキンラーメンだったって話。 それぐらいは知っておいて損はない。 過保護なサブカルチャーに包まれて、 夢を見ている永遠に若者である人々。 まどマギに人間のリアリティを求めるなんて、 悲しいけど時間の無駄遣いなのに、 今日も手につけるのは10連ガチャ。 一つの方法論が失敗したからと言って、 諦める連中が多すぎる。 地面にうつぶして、溶けるように消えていくこと。 そんなものに恍惚や官能を覚える暇は、 人間にはないはずなのに。 巨匠のアニメーションに生きろと言われて、 ようやく生きる気になったかい? そりゃ随分と軽い命だな。 俺は俺で槍を削り、刀を研いで、 生肉を狩りに出かけるだけさ。 画家のジョルジュ・スーラは、妻の存在を友人にひた隠しにしながら、点描を続けていた。なんて虚しいが、なんて生々しい生き方だろう。閉鎖、迷妄、妄信。その最中での安定。気味が悪いがそれも一つの決断だ。文句を言う筋合いは俺にはない。俺はダリとウォーホールがキスをする写真でも見て、馬鹿騒ぎの余韻を楽しむだけだ。 葬式には坊主の一人でも呼んでくれ。 俺好みの戒名の一つや二つ、思いつくだろから。 そいつを溝落ちにも刻み込んで、 跡形もなく火葬してくれよ。 野垂れ死にはそうやすやすと出来ないが、 俺が自身の尊厳のため生きたって事実は消えないだろ。 さてそろそろ寝る時間だ。 また明日も戦況をどうよくするか、 知恵を絞る時間が待っている。 鉄を初めて作った人間が、 自分のためにそうしたように。 寝床に行くと、布団のそばで俺の女が、 私がいなくなったらあなたなんて、 と、悔し紛れに泣いている。 悲壮だがイージーに見えるのは、 俺が薄情な男だからだろう。 だが、これは痴情のもつれなんてものではなくて、 もっと根深い、人間のエゴに起因する話だ。 俺はもっと原初的な、野生味に戻る。 そこには聞こえのいい神学も、美辞麗句もない。 生きるための闘争心があるだけだ。 ミソジニー、エゴイスト、サイコパス、 どう言われようとそれは変わらない。 俺は行く。生涯でただ一つ胸を打った、 歌曲に身をゆだねて。



生と死 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 2
P V 数 : 741.4
お気に入り数: 1
投票数   : 1
ポイント数 : 0

作成日時 2024-08-02
コメント日時 2024-08-06
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/12現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
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閲覧指数:741.4
2025/04/12 09時11分40秒現在
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    作品に書かれた推薦文

生と死 コメントセクション

コメント数(2)
吸収
吸収
作品へ
(2024-08-05)

いやー俺、けいせいさんの作品好きなんだよね 熱い、熱盛というか 俺はこれからお前たちを殴る! みたいな プロデュース次第だと思うけど 商業的にも悪くないと思いますね かと言って昭和な感じとも違うんだよね 洗練はされてるというか 詩人のサイトではコメつかないけど 本屋で売られてたら一番手に取られるんじゃないかなと思うんですよね シンプルに伝えるという技術と言うか これは結構大事だし中々出来ないと思うのです。

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stereotype2085
吸収さんへ
(2024-08-06)

吸収さん、ありがとう。とても嬉しい。この詩は書いてはよくても、投稿はしない方がよかったタイプだと自分では思っていて、夜寝る間際に浮かんだ女性のイメージ「私がいなくなったら…」を手がかりに一気に書き上げて投稿したのでちょっとした悔いもあるんです。僕は何かを否定するにはもっと素晴らしい価値観を提示しないといけないと思うんだけど、この詩においてはそれが色濃くない。突っ走ってますよね。その点「World citizenとは…」の方がよく出来ていたと思う。 ただ僕はサルバドール・ダリの言葉「自分の描いた絵を笑うな。あなたが死んだあとその絵があなたを笑うかもしれないよ」を信条としている部分があるので、この詩について肯定的でないことを言うのはこれぐらいにしたいと思う。 伝える技術については、長い間書いてる内に身についたというか。その点賛辞をもらえて最高です。けいせいさんの詩、好きなんだよね、なんて言われるのは最高の気分です。 今深夜1:20。いい気持ちでもう一眠りしたいと思います。

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