別枠表示
家出娘(She’s Living Home)
これは、とある村の村人、ありさという少女のお話です。 この村では、誰もが平和で安定した暮らしを営んでおりました。 村人平八の娘、ありさはとてもつぶらな目で、外の世界を見つめておりました。 「この平和な村の外には、きっと素敵な夢のある世界があるんだわ」 ありさが時折その思いを語ると、平八はそれを頑なに否定しました。 「外の世界は危険が詰まっている。絶対にここを出てはならん」 ありさがあまりに外の世界への夢を語るので、平八は必死で部屋の窓ガラスの外に板を貼り付け、部屋の窓から外の世界を見れないようにすることもあるほどでした。 「ああ、外の世界を見たい」 ありさはその想いから、ついに病気になってしまいました。 「ありさ、すまない」 娘が病気になった原因を反省し、平八が窓ガラスに貼った板を撮ると、ありさはその日の夜に家を飛び出し、村外れから街へと駆け出しました。 ありさが街へ出ると、そこには今まで見たこともない世界が広がっておりました。 イルカにまたがる男の子がいました。 その男の子は、なにを言ってもなにを尋ねても言葉の後ろに、エヘンエヘン。 どうして、そんなに言葉の後ろに、エヘンエヘンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと、僕の知ったことか? エッヘン」 と答えるのみでした。 馬に乗る女の子がいました。 その女の子は、なにを言ってもなにを尋ねても、言葉の後ろにイヤンイヤン。 どうして、そんなに言葉の後ろにイヤンイヤンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと聞かないでよ。いやーん」 と答えるのみでした。 ラクダと一緒に歩く男性がいました。 その男性は、なにを言ってもなにを尋ねても、言葉の後ろにオホンオホン。 どうして、そんなに言葉の後ろに、オホンオホンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと、俺の知ったことか? オッホン」 と答えるのみでした。 猫を撫でる女性がいました。 その女性は、なにを言ってもなにを尋ねても、言葉の後ろにウフンウフン。 どうして、そんなに言葉の後ろに、ウフンウフンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと私に聞いても知らないわよ。うっふん」 と、答えるのみでした。 口から黒い炭を吐くおじさんがいました。 そのおじさんはなにを言ってもなにを尋ねても、言葉の後ろにイカンイカン。 どうして、そんなに言葉の後ろにイカンイカンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと、俺に聞いては、イカンイカン」 と答えるのみでした。 顔を真っ赤にして怒るおばさんがいました。 そのおばさんはなにを言っても、なにを尋ねても、言葉の後ろにアカンアカン。 どうして、そんなに言葉の後ろにアカンアカンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと、私に聞いてはアカンアカン」 と、答えるのみでした。 犬をステッキで叩く老人がいました。 そのおじいさんは、なにを言ってもなにを尋ねても、言葉の後ろにゴホンゴホン。 どうして、そんなに言葉の後ろにゴホンゴホンとつけるの? と尋ねても 「そんなこと私に聞いたって、分からないなぁ。ゴホンゴホンゴッホン」 と答えるのみでした。 イルカにまたがる男の子。馬に乗る女の子。ラクダと一緒に歩く男性。猫を撫でる女性。口から黒い炭を吐く男性、顔を真っ赤にして怒るおばさん、犬をステッキで叩く老人、色々な人と逢いましたが、ただの一人も、ありさの求める答えを差し出してくれる人は、おりません。 もう帰ろうと思い、もと来た道を振り返ると、もと来た道が分からない。そこへ、カンガルーのようなポッケをした老女が歩いてきて、その老女はなにを言っても、なにを尋ねても、ゴメンゴメン。 どうして、そんなに言葉の後ろに、ゴメンゴメンとつけるの? と尋ねると 「それは、貴方の気を悪くしたと思ったからよ。ゴメンゴメン」 と、お詫びに、帰りのバスに乗るお金をありさに渡してくれました。 「私の来た道は、バスが通らないの。そのお金の代わりに、宿をとりたいわ。私を泊めてくれない?」 老女がそれに了解し、ありさを自らの宿に泊めると、それ以降、ありさが元いた村に戻ることは、もう二度とありませんでしたとさ。
家出娘(She’s Living Home) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 308.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-02
コメント日時 2024-05-02
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
綴りを間違えました。 Leaving homeでしたね
1