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幸福の国
幸福の国 (第一章) 今日も散歩に出かけよう 太陽の下をひたすら歩く 今日も考え事をしていこう 埃被った地球の上で あてもなくひたすら歩く 見渡す限りゴミの山 ガラクタ、廃墟、粗大ゴミ 今に崩れそうなステージが 砂埃をまき散らす あっちを向けば、キャンバスが そっちを向けば、蛆虫ケーキ 錆びて壊れたサックスは ブー、ブギ、ブギャギャ、ブー、バー、ブー 硝子細工の遊戯場は 色が薄れてセピア色 買ったばかりの参考書たちが 渦高く積まれ、また崩れ 今日もいつもと変わらない 平凡な一日だ。 (第二章) 私はなおも、ひたすら歩く。 傷つかないよう、冷静に。 しかし、絶えず何かは考えていた。 それは夢か?生活か?しがらみか? ここはどこ?歩いているのは誰の体? 預けた糧はどこへ行く? ―働かない人のところへ。― 弱い人は守らなきゃいけないの? ―守ってあげなきゃいけないよ。彼らも生きているんだから。― 病気だったら人を殺してもいいの? ―仕方がないんだ。自分じゃわからないんだから。― 考えだけが空回り。 どうにもならない堂々巡り。 何処からか、小鬼の叫ぶ声が聞こえた。 悲鳴のような、癇癪のような、 野太くて、それでいて甲高い、 キイキイうるさい叫びが響いた。 違うとこから、怒号が聞こえた。 聞くに耐えない罵詈雑言。 麻袋の鬼達が、みっともなく罵り合い。 それまた違うところでは、興奮した暴れ馬、 走り回っては悪ふざけ。 一人が足をすべらせて、こけてはピイピイべそをかく。 あぁ、憂鬱だ。イライラするな。 だけど、文句は言わず、仏顔。 私は何故生きている?あるいは何故生かされている? どうやらゴミだらけの地球では、 私の存在が必要らしい。 何のため?と聞いたところで、誰も答えてくれやしない。 必要というのは方便か?そう考えたりもしたっけか。 言いくるめられ、操られ、 これじゃあまるで、AIロボット。 ご主人の言うことに従うだけのピエロの人形。 何処からか、椅子が飛んできた。 避けた先にはバケツの山。排泄物で溢れては、蠅がぶんぶん踊ってる。 刃物を持った化け物が、私のことを追いかける。暴言だろうが、はっきりしない。 逃げる私を何処からか、世間知らずのガキ共が、ヘラヘラ笑って眺めていた。 "みっともないわ、おバカさん。" うるさい、うるさい!私の苦しみなんて、あんたらは何も知らないじゃないか! でも、ここで叫んでしまったら、多分お縄になるだろう。 (第三章) 日が暮れて、夜になる。 シェルターの窓越しに空を見上げる。 銀の月や星共が、嫌という程輝いている。 ふんっ、いいご身分だこと!私は空を睨んだ。 中古品のテレビでは、シンガーソングライターがギター片手に歌っている。 "さぁ帰ろう、地球へ。みんなの故郷へ。 "こんな素晴らしいところはここしかない。" ―そう思えるあんたは、きっと幸せ者よ。― チャンネルを変えた。憧れの詩人が朗読をする。 "みんなを好きになりたいな。 みんな神様がお作りになったもの。" ―ごめんね、私には出来ないの。― またチャンネルを変えた。万札のおじさまが、 勇ましく演説をする。 "世の中で一番美しいことは、すべての物に愛情をもつことである。" ―それが出来たら、こんなに苦しんでいない!― 何時しか涙を流していた。呼吸が粗くなっていく。 悲しい、苦しい、なんで止まらない! 助けてと叫びたい。でもすぐにその言葉は飲み込まれていく。 気がつけば、手元にあったリモコンをテレビに向かって投げつけていた…。 私は何故生かされている? もう、考えても答えは出ない。これ以上は出てこない。 やめてしまおう。終わりにしよう。 私はとにかく頑張った。必死に耐えてきたんだ! そして逃げ道を探したんだ! だけど、見つからなかったのだ…… 結局、ゴミ山での生活が、一番安らかなんだと思い知らされた。 もうイイや、諦めた! 楽しいことだけ、考えよう! ワガママ放題狂っテやロウ! どうでもイイことハ放っテおコう! ドウニデモナッチマエ! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハアハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハアハハハハハアハハハハハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハアハハハハハハハハハハハアハハハハハ……… (フィナーレ) 次のアサ、シェルターを出ル。 今日モ散歩に出カケよウ。 タイ陽の下ヲひたスらアルく。 今日ハ考えゴトはしナイでオコう。 ホコリ被っタ地キュウのウエで、 調ぅ子のくルったウタをうたっテ。 ゆうゃぁけ、キシャぽっぽ……… まぁルぃタマぁごが、 パちぃんとワレテえ! おウマのおやこぉが! ぱチンとワレて…………、 はぁこう、 ハコォウ、 おニぃぃいのパんツ! ハメハメハぁ、ぶう、ハメハめはぁ…… おはなぁがワラタぁぁ…、オォはなガわっらた あっるこぉぉお!アルっこオォぉお! 私ぃわあ、わたしワあぁぁあ、げんきいぃイヒヒヒヒヒヒヒヒヒャぁあはアヒャぁああはハハハはハハハ…アハは……、グスッグスッ、あうぅ ぁ、ぁああはハハハハハハハハハ…………………………
幸福の国 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1055.3
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-01-29
コメント日時 2024-02-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
運営の方へ 幸福の国の作品を投稿しました、田代ひなのともうします。 間違えて
1運営の方へ 幸福の国を投稿しました、田代ひなのと申します。 投稿の際、間違えて作品を2回投稿してしまいました。 こちらの作品を削除していただくことは可能でしょうか?お手数おかけして申し訳ありません。
1素晴らしいブルースだと思います。悪いものも、良いものも見分けたうえで、 どうにもならない世界を歩く人。尽き果てるまで燃えてください。
1今運営の方で対応しておりますので、しばらくお待ちください。
0ご迷惑をお掛けしてすみません。ありがとうございます。
1対応完了です。ご安心ください。
0ありがとうございました(・∀・)
1不思議なエネルギーを秘めた作品だと思いました。かっちりした作品のように見えて、終盤狂っていくところが美しくきれいだと感じました。ですが厳密に言うと物語の方向性は、埃被った地球の上という文言から大体決まってしまっているように思いました。アイロニーというか、皮肉への傾きというか。ですので、フィナーレ以降、一番心に残るであろう部分が提示されても、その効果が十二分に発揮されていないのではと思いました。中盤、そのぎりぎりくらいまでは自分を隠す(取り繕う)ような語りでも良かったのではないかと思います。ただこういった書き方の作品は、目にすることが少ないと感じます。狂った美しさを持つ、貴重な作品であると思いました。
1はじめまして。作品を読んでいただき、ありがとうございます! 感想に加え、的確なアドバイスに感謝致します★ 確かに、中盤とそのギリギリくらいまでは取り繕う形で粘っても良かったのかなぁと後で感じました。 1.5A様のアドバイスを下に、また幸福の国が再構築出来たらなと思っております。 お粗末な作品ですが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます(◍•ᴗ•◍)
1感情を文字にするって難しいと思います(僕は苦手なので好んでは書きませんが)、そして自分の感情を文字にして相手へ正確に表現しようとすること、それはやっぱり答えのない問題を解かされているような不完全さがあると思います。この作品の最良点は、ご自身の世界を書き切って、感情を読み手に伝えている所だと思います。また別(幸福の国)の形で、こういった作品を読みたいと思いました。それから、表現方法というところで、下記の作品が参考になるかもしれないと思い、URLを貼らせて頂きました。こういった書き方もあるんだと思って、僕は勉強になりました。 https://po-m.com/forum/showdoc.php?did=4952
1声に出して読んでいると、最後らへんは読み辛いのですが、狂って行くさまが生き生きと再現されているようで、新境地の様な気がしました。アとハだけで構成された、三行もそうでしたが、人間の社会に対する感情の襞が、剔抉されているような気がしました。
1私の存在が必要らしい。 その確信が得られれば最高ですね。
1世界観や伝えたいことを重視してしまうとどうしても長くなりすぎ、小説じみてしまう。詩としてなにを残すべきなのか、書き手の良さを保ちながらどう表現すべきなのか、思いついたものをすべて書き切るのではなく、研ぎ澄まし洗練させていくのか技巧に沿って惹き込んでいくのか、課題は多いように思います。けれど着眼点も流れも世界観も力があり、書きなれていらっしゃるので、やはりことばひとつひとつ、伝えたい言葉ひとつひとつを、吟味していくことが必要になってくるのかなと思いました。
1こんにちは。 いつも楽しく読んでいただき、ありがとうございます(・∀・) 今回の作品についてのご指摘、的確なアドバイスいただき、感謝致します。 後々、読み返してみて、削れる部分や、もっと簡潔にまとめられる部分があったなと反省しました(‘~`;) 日頃、試作をする中で思いついたアイデアをどんどん盛り込む癖があり、長くなってしまうことや、結局何を伝えたいの?というような感じになってしまうことが多いため、今後、詩を書く際はA・O・I様のアドバイスも参考にしてみようと思っております。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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