牢獄 安らぎに 凭れ 下水へ
侏儒の胎脂を 等隔に 灯し
事物として直ぐ 罪状 当てがい
この癲狂化院の 儀礼に 委ね
底に眠る者 無垢なる同胞
電飾も 造花遊びにも 懲り
甘美な 嗚咽で 彩る 前庭
不能に 悶える 道化の嚥下で
かの郷愁に 消えゆく 彼の血
悪阻 吹き荒れて 不断の咆吼
その透明さによる 不浄の縫合
齢を指折り 断ち切る 祈り
潮風が 傷んだ鞍を 喚起する
我々の影 過去を 吹き消す事
叫喚ひとつ その分節 叶わず
駐在所からは 動かない 月
我々には無縁な 或る者の手に
星辰盤 ― 悲しみの架橋を 仰ぐ
彼女を囲う 夜の恩恵に接ぐ
無為の中へ 漬けておく身体
希望などは 自ずから 退いて
恐らく誰も 知り得ないだろう
意志が示すは ただ隷属の尖
暗い 来歴を祓う 硝子化の
肉に埋もれた 炯眼 の慈悲
包み込む 夢現 蕎麦殻の音が
嘗ては 目を 向けなかった
者共には 無関係な 厚みで
死臭を頸に 撫で付けながらも
掲げず 跪坐し 鼓動に語らせ
その存続に疾る 溜息を 纏い
寄り掛かるのか 庇護所の柱に
児戯の賜物 唯 与えられたもの
棚機津女は 厄災を 幾重にも…
祝詞と 柄杓が その無限を注ぐ
至高かつ 疎遠な 聖-性である と
黒煙 犯されたのか 界碑の上で
成長は無い 不遇こそ人の 質と
法に責め立てられた おお喜悦よ
発火するのを この至点から眺め
己が臓腑は 唐草柄に沿い流れ
遠方に 裂目 世の 審問官として
皮肉にも不動 その叶わぬ 豪奢が
葡萄に巣喰った 真宵の極であれ
全てにおいて 其処に在るかの様に
軽ろやかに 取り交わされる 手管
我々が 掴むのは 唯 それらの気配
その涙に反し 劃定する 権能すら
官舎の裏で 気化する ― 瀆聖
蜂窩状に声 鍾乳洞を打ち 進み
別れだ 切れ目 足踏みする間に
胞子を束ねて 吹き込む 全てを
錯乱 また狂気 手指は 白鍵に触れ
その反省に洗われた 少女の影は…
既に来ている 彼女は 輪郭の中
禁じられた 大いなる光の 戯けに
恐れている 自らを ― 汚穢の出処
あの美しさに 触れる術などは
据えられた空虚に 惹かれ 故にと
その身振りは 霧消に 結ばれ
常に 疲れ切って 触れるに 及ばず
だが許されたと 人の名 内から
招聘する 肌 つまり至上の罪禍を
零れ落ちた 白色の処 括り付け
悪業であれば 恐らく 法なり…
(中絶)
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 459.2
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2024-01-08
コメント日時 2024-01-09
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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2024/11/21 20時36分38秒現在
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拝読をさせて頂きました。 先ず、 潤沢な語彙が目を惹きますが。 全体的に申しますならば文体が固く。 もっと、解凍出来ぬ程に凝縮をして仕舞うか、 音で読ませる部位と、字義で読ませる部位の。緩急‐粗密を意識的にお付けになられると、調べが佳くなるかと思いました次第でございます。 「棚機津女」の行は、文末迄工夫が行き届いており、御作の中核であると感受を致しました。
0確かに今見返してみると当初与えてたものが尾に向かって徐々に緩んでいる様に思えます。聯を跨いで聯を同じ精神で扱う事は難しい。詩法があれば良いのですが―しかし我々にとって恐らくそれは疎遠さ、詩法との距離そのものなのでしょう。この失敗作はその断片としての価値を認めるに留めておくべきですね。 コメントありがとうございます。本当に助かりました。
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