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Cappuccino
一口目のほっこりとした泡がくせになる。 その奥が知りたい。 シナモンを効かせてキャメルのトレンチを纏っておめかしして。 泡はあまりにも儚く、壊してしまうのが憚られる。 そのふんわりとしたやわらかさに唇が触れてもなお、陶器のカップに指を滑らせ思考を巡らせる僕は案外我慢強いのかもしれない。 ソーサーの上にあった甘くてちょっぴりスパイシーなスペキュラースクッキーが僕を鼻腔をくすぐりそそのかしてくる。 クッキーで泡をかき混ぜたい衝動に駆られる。泡を纏いほんのり温かく湿ってやわらかくなったクッキーが舌の上で溶けてなくなる。 このまま飲み干してしまいたい気持ちを飲み込み、カップを両掌で包み込む。 くゆる湯気はすっかり立ち消え、僕の前には表面から1センチの幅でくっきりと跡のついたカップと暮れゆく時間だけが残った。 二口目を口に運んだ。 身体の中にある息を全部吐き出すと白くなって現れ、消えた。 嗚呼このままカップの中の泡をも消してくれないかな。 どうしても壊せなくて飲み干せない僕の代わりに。
Cappuccino ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 535.8
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-04
コメント日時 2023-11-05
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
クッキーとともにカプチーノを飲んだ時の感覚が、丁寧に描かれていますね。 疲れたときにはこのような詩もいいかもしれません。
1カプチーノの泡を壊せなくて飲み干せない僕、というのはなにか丁寧で思考して生きる人の後ろ姿を感じます。多感に生きる、というのは苦しい時もあるけど、もの思う秋の安らぎはカプチーノと共に、そんな感じを想像しました。
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