明日は夜明けに船を出す - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

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きょこち(久遠恭子)

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ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

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明日は夜明けに船を出す    

釣りは面白い。 釣れない時間が面白い。 釣れるから面白い。 釣れない時間が釣れると面白くなるから面白い。 そしていつかはそうなると期待しても その日を楽しみにしても 結局何も変わらない誕生日と同じように 私は今日も私なのです。 ズドンと芯に来て 必死で抗い 必死に生きる あいつの 生をほんの少し あるいは 生をそのまま丸ごと いただきます。 この唄は 今日があることに あそこにいられたことに 彼のあるいは彼女の生を間違いなく変えてしまったこと 私さえいなければあいつらはそのままだったにもかかわらず 私がここにいさせてもらえることに 私があそこにいさせてもらえたことに そして 私の明日が今日になるならば 私は明日も私なのです。



明日は夜明けに船を出す ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 10
P V 数 : 928.6
お気に入り数: 0
投票数   : 4
ポイント数 : 0

作成日時 2023-10-05
コメント日時 2023-11-10
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2024/11/22現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
音韻00
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閲覧指数:928.6
2024/11/22 00時19分05秒現在
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    作品に書かれた推薦文

明日は夜明けに船を出す コメントセクション

コメント数(10)
m.tasaki
作品へ
(2023-10-05)

こんにちは。 前作の末尾の行が、そのまま今作のタイトルになっているのですね。このフレーズが気に入ったのでしょうか。 私は釣りをしないのでわからないのですが、釣れない時間も面白いものなのですか。やはりそれは、何が釣れるかな、という期待やワクワク感のようなものなのでしょうか。 でも、その1連目の最後の方に 「結局何も変わらない誕生日と同じように  私は今日も私なのです。」 と、どこか冷めたような感じがあるのがいいですね。 また、2連目のアタリが来た時の描写の、 「必死で抗い  必死に生きる」 というところが、魚への感情移入を誘っていて巧みだと感じました。 そして、3連目がこの詩の肝ですね。 釣られてしまった魚への想いと、それと同時に、その時その場に自分が存在していたこと、今ここに自分が存在していることへの、何か不思議さあるいは感謝のような感覚が描かれています。 その感覚が最終連に込められている、そんなふうに感じました。 良い詩だと思います。

1
かずや
かずや
m.tasaki さんへ
(2023-10-06)

コメントいただきありがとうございます。 いい詩だと言っていただきとても嬉しいです。 「明日は夜明けに船を出す」 「明日」と「話者」、どちらが主語でも意味が取れそうなところがなかなかいいなあと思って使ってみました。 釣りはやはり釣れないと面白くないのですが、釣れない時間というのもそれなりに面白いものです。 しかし、その面白さは「釣れた」という結果から逆算しての面白さであり、釣れない最中はやっぱりちょっと面白くはなかったりいたします。 最終的に今日は釣れないとなると本当に落伍者のような気がして気持ちが暗くなりますし、しかして釣れたとして、喜びを爆発させたとしても全く自分自身は釣れる前と変わらないでそこにいるという。 余暇で楽しむものはおおよそそういった人生の縮図的な要素を持っている気もします。

0
片々
片々
作品へ
(2023-10-06)

最後の論理的帰結を納得させるに足る共感を覚えるのは難しい事だけれど、確かにひとと関係するという事はひとを変えてしまう事、あるいはそう言う一種の暴力性を孕むのだなと興味深く読ませて頂きました 「私」に対して「彼女」「あいつら」がもたらした影響に関しても観察出来る視点があっても面白いかな、と思います いずれにしても釣りから思弁的に「私」の存在に引き寄せた発想は良いもののような気がします

1
かずや
かずや
片々さんへ
(2023-10-06)

コメントありがとうございます。 説明と心情描写の具合をいい塩梅で行うのは難しいなあと思っておりましたが心の動きを丁寧に書けば案外と過不足なく書けるかも知れませんね。 近い内に試してみたいと思います。 私ということに思いを致すことは思いつきませんでした。他者に対しては不遜にも自分が及ぼしてしまったかもしれない影響を考えることはありますが、何故かは明確ではありませんが自分自身は不可逆で「もしこうなっていたら」という課程自体、あまり意味がないように思えてしまうのです。 不思議です。

0
湯煙
かずやさんへ
(2023-10-06)

よしだたくろう が聴こえるよう -- “今日までそして明日から”。旧い歌 ですね。 “船を出すなら九月” -- 中島みゆき嬢。九月 は去ってしまいましたが。 途上にあって、ボウズも外道もまた愉し ですかね。 いましろたかしの釣れんボーイが読みたくなりました。

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かずや
かずや
湯煙さんへ
(2023-10-06)

コメントありがとうございます。 私が大好きなお二方をさらりと書かれるあたり相当な読み手さんであると推察いたします。 書いている時に全く意図していなかっただけに正しく「やられた。」という感じがいたしました。 いましろたかしさん、存じ上げませんでしたので読んでみますね。

1
田中恭平 new
田中恭平 new
作品へ
(2023-10-07)

これはハートを撃たれる素晴らしい作品に思いました。 岡潔という数学者、随筆も書いているんですけれど、この人の考えに無明とそうじゃないもの って二項対立の考え方があるのですね。無明って大雑把にいって、暗さ、陰気さ、人間の 内に籠る感じ、といいましょうか。 そういった無明の芸術は駄目ですって書いているのですね。大雑把に言えば。 その釣りという経験を通じて成されると思いますけれど、ほぼ、その詩でいったら 無明な作品群に陥っている中で(個人的感想です)、この作品は人間の明るさに タッチしていると思います。元気が湧きました。

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かずや
かずや
田中恭平 newさんへ
(2023-10-09)

嬉しいコメントありがとうございます。 結局人間は明るくならざるを得ないのでしょうし、分からないことを言語化して明らかになったような気がすることで何とか折り合いを付けていくのでしょうね。 どうも今回はこの場で田中恭平 newさんを始めとする皆さんとやり取りをする、細々と自分自身が書くという試みを通じ形にできたもののような気がします。 ありがとうございます。

1
エイクピア
作品へ
(2023-11-09)

釣られる魚に対する同情であろうかとふと思ったのですが、ちょっと擬人化されているのかもしれない。私が私であると言う自同律は難しいですね、誕生日を持ち出しても恐らく納得がいかない。「いただきます」。当然釣った魚を食べるのだろう。命を頂く。食べられた魚は神になるのかもしれない。反省文、内省文など、命を頂くことに対する畏怖の念があるのかもしれないと思いました。

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かずや
かずや
エイクピアさんへ
(2023-11-10)

コメントいただきありがとうございます。 同情というよりはひょっとすると感謝なのかも知れません。 何とはなく気分が鬱していたり、日常に飽いている。 そうして変化を求めて出かけ、闘うわけなのですが結局、自分は何も変わらない。むしろ魚に迷惑という。 それでも針にかかった瞬間のあの衝撃を求めて、明日と一緒に私も出かけるのだろうと思います。 釣り以外の余技でもこうした感情はあるかもしれませんね。

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