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水のコトバ
結合角104.45°の囁き ブラウン運動の拡散は 偶然を必然に換えて 戦慄く電気双極子に 砕かれる結晶格子より 解き放たれる電解質 分極がもたらす 潜熱の伝承 あなたは 水の記すコトバを 読めるでしょうか 雨として 地に降り注ぎ 川を流れ 海に注ぎ 熱を奪い 雲となり 熱を与え 再び雨となり 地に降り注ぐ その円環の内に 水は様々な物と力を 己の内に溶かし抱えて 数多の命に宿り そこでそれぞれの コトバを記すのです それは あらゆる命に共通する 言葉ではないコトバ 私やあなたの中にも在って 読んでもらうときを 待っています そう あなたの脳髄の奥深く 膜電位が明滅する 流動するリン脂質が 無数に蠢くモザイクの 微小な天球儀の内側 神経細胞中のコロイドで 微細な振動とともに 活性化エネルギーの山を 切り崩す酵素たちを 扶助しながら 記された水のコトバが 膨大なニューロンの網に 憑依している 交感しつつも変遷しゆく 幻の形相としての あなたに 読み取られることを 待っているのです 揺らめく104.45°の結合角 戦慄きながらめぐりゆく 電気双極子 担われゆく潜熱と電解質 この遍在する 物質とエネルギーの介添は 文字のないコトバを記しながら いつも あなたと共に在るのです
水のコトバ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 705.7
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-09-09
コメント日時 2023-09-10
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
私にも水のコトバを読み取れるかなあ。「幻の形相としてのあなた」という表現が、うまくいえませんが輪廻とか、命が地球をめぐることとか、そういうことをあらわしているのかなあと思いました。
0コメントをありがとうございます。 「幻の形相としてのあなた」という表現には、特にはっきりと限定された意味は込めていませんので、読み手の方の自由な発想で受け取っていただきたいと思います。 輪廻とか命が地球をめぐることかの内に、「あなた」が現成しているという見方も、とてもいいですね。
1「水のコトバ」に込めた作者の驚きを想像しました。が、タイトルが成功しているかはわかりません。単調さ、饒舌をできるだけ排して、みずの透明さを描ければ、意図により近い作品になるのではないかと思いました。
0おはようございます。 昨日、本を処分しましてね、それで、理系の電気がわかる本と、電験のテキストなんかは 敢えて残したのですけれど。まあ資格とる、とらないは分からない。 病み上がりなので。 そうして、科学用語の導入ですね。なるほどな、宮沢賢治じゃないか。 と思いつつ。 その、実は開かれているんですよね。科学用語を詩に挿入することって。 でも、逐一、調べるにとおくて、結果、閉じているように感じられる ということは、あると思いました。
0コメントをありがとうございます。 「水のコトバ」というタイトルに、水の透明さというイメージを持たれたのですね。 そのような視点は想定外でした。 コメントをいただけると色々を見方を学べるので嬉しいです。 ありがとうございました。
0コメントをありがとうございます。 仰るとおり宮沢賢治に触発されて、科学用語を時々詩に入れたりしています。 ですが、今回は少し入れすぎたかなと、今になって思い始めています。 確かに科学用語を逐一調べるのは面倒ですよね。 そのため多くの読み手に対して閉じている印象を与えてしまったかもしれません。 「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ですね。 反省しております。
1自分は音楽が専門なのであまり「詩」そのものへの感想は書けないのですが、感じた印象などを投稿させていただきます。 全体的に平沢進の歌詞っぽさがあって導入から個人的にかなりツボだったのですが、 専門的な用語の合間にも柔らかな詩的表現があり、緩急の付け方がとても心地よかったです。 ゆらめく培養液の中でぷかぷかと漂っているアンドロイドを見ているような、 未来的な神秘性を感じました。 これを曲にしてみたいなと勝手に思ってしまいました。 他の作品も見るのが楽しみです。
0こんにちは。 水のコトバが分かったなら、どんなに楽しいかなと考えていました。 水道水、雨水、河川、海、色々な場所、色んな形に変化する水。そしてまた、私達の身体も水を含んでいます。 それから昔、水の妖精が雨降りの日に活躍する漫画を同人誌で描いたのを思い出しました。 色んな想像力を掻き立てられる作品ですね。
0コメントをありがとうございます。 残念ながら平沢進という方の歌は知らないのですが、気に入っていただき嬉しく思います。 「ゆらめく培養液の中でぷかぷかと漂っているアンドロイドを見ているような、未来的な神秘性」というイメージはとても興味深いです。 今後の詩作の参考にさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
0コメントをありがとうございます。 「色んな想像力を掻き立てられる作品」と評していただき嬉しく思います。 「水の妖精が雨降りの日に活躍する漫画」とはどんな作品だったのでしょう。 新たな詩のイメージが湧きそうです。 ご感想ありがとうございました。
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