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ナベさんの思い出
家族と離れ、精神的に楽という意味では、とてもイージーな世の中になった。 どうして今まで自分がなんの履歴もない人生を、悲観することなく生き抜けたかというと、他人の心配ばかりしていたからだという答えに行き着いた。 他人が不快じゃないかな? 迷惑じゃないかな? 常に心配する。 一人で暮らしていると、色々な他人の声が頭の中で聞こえてくる。決して都合のいい言葉ばかりじゃない。けれど、受け入れる。 自分を対象化し、直視する勇気を持てる人間には、あらゆる角度からの視点を視野に入れ、一人でいても飽きることがない。視野が狭く客観性をなくし、生きていると、自分のことばかり考える人間になる。 男女の縁も一見繋がっているように見えて、利用する相手としての心配が実は多い。 ナベさんは小学校時代、クラスメイトにモテた女の子。 どうしてみんながこの人を、美人だと褒めるのかが当時分からなかった。 今思うと彼女が、同じクラスメイトの男の心配を積極的に引き受ける子だったからモテたんだと気づく。 特別美人な子ではなかった。 僕がいじめられた時も、彼女が率先して怒った。 マラソンで遅れて走る僕を 「○○君、頑張って!」 と言ったのも彼女だった。 結局どれだけ顔が綺麗だろうと、自分のことしか考えていない人はモテない。 表面的に愛され、魅力的に見えても、数年経てば本当は、みんな裏で好きでなかったんだとハッキリすることがある。 僕が気になっていた女の子は、一時的にはモテたけど、後で寂しい人生を歩んだようだ。 その子に裏で 「ただのデブ」 と言われ、傷ついた僕は学校へ行かなくなってから猛烈に痩せ細り、皆にとても心配された。 恋や一目惚れの持つ一時的な力など、そんなものだ。 僕が不登校を選んだ後、女の子たちが、僕のことを心配する声を集めて、運動めいたことをやったと聞く。 結局僕は、男には嫌われていたけれど、女の子にはそこまで嫌われていなかったんだと思う。 多分、男にもそんなに嫌われていなかったんだな。
ナベさんの思い出 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 706.6
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-09-03
コメント日時 2023-09-08
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
トラウマは後を引き代替の今がないと何度も追想したりして、負の経験は乗り越えるのに時間がかかりますね。あなたの考察は落ち着いています。大丈夫かな、と。元気でね。
1その、前回と比べて非常にあっさりとしたテイストで、ネット上で何か読むか というときに良いと思ったんです。 その、何か読むか、までがとおくてね、そうして実際読ませる、素晴らしいことです。 そうして、この作品にも私はどこか太宰治を感じました。 太宰、太宰、言われると嫌かも知れないですけれど きっと、気質。パーソナリティの部分で重なるものがあって じっさい、どうなんだろ、万太郎さんは太宰を読んでらっしゃるのか 気になりました。
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