粕漬け。魚の粕漬けが食べたい。例えば、すこし白く見える。粕漬けにすれば、わたしの黒い肌も、すこしは白くなるかもしれない。そう思って、粕漬けをつくる。きみたちは白くなっていけばよい。わたしは黒くある。それでよろしい。
「濱口って変わってるよな」
彼は隣で講義を受けている関野くん。彼の好物はタコライス。粕漬けとはかけ離れている。ソーシャルディスタンス。わたしたちも離れるべきですよ、という意思表明。ハマグチはカワッテイル。そうかしら、と思い、講義を聞く。
「戦後間もないころに第一次ベビーブームが起こりました。その後、第二次ベビーブームが起こったのは約二十年後で・・・」
家に帰ると、粕漬けはうまい具合に漬かっていた。
オチのない話。
ぶりかえした風邪をこじらせている。母になだめられる夢をみる。
作品データ
コメント数 : 3
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ポイント数 : 12
作成日時 2023-09-01
コメント日時 2023-10-03
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 12 | 12 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 2 | 2 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 12 | 12 |
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2024/11/21 19時36分02秒現在
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おはようございます。 その、何か新しい感覚を受け取りました。 うちの妻が、やっぱり素肌がちょっと黒くて、色々試しているんですけれどね。 その、なんでオチのない話になってしまうかっていうと その黒い肌に対して粕漬け、みたいに逐一、自己完結しているからだと思ったんですね。 考えてみるに、じぶんもそういった性根はあったんだけれども わざわざ詩にしようとは思わなかったな、と。 その、逐一自己完結していると、どうなるかっていうと多分 ストーリーラインがなくなっちゃうぞ、ってことになると思うんですけれど えてして そのベビー・ブームのような歴史の話しが「浮いて」しまう。 ストーリーラインがない、に対して歴史というのはストーリーでもあるから。 でも、絶対切れないストーリーラインがあって それは、母親のまあ家系ということが挙げられる、と。なるほど。読ませる。 まあ、大要はそうだとして、「風邪」というタイトルも巧くて 僕もなにか、風邪ひいたとして、自己完結というか自己解決を試みるから。
0糠漬けから濱口くんのエピソードへの転換がとても面白く感じました。取り止めのないさまざまな要素がバランスよく繋がって見えるのは構成の力ゆえかなと
0「魚」の粕漬け 「濱」口 「タコ」ライス 「ぶり」かえした といった具合でなんとなく一定、海のイメージを保ってスライドさせられていく。なんだか脈絡があるようでない。1連目もそんな感じで、なんとも風邪的な、うなされた思考だと思う。 >わたしの黒い肌も、すこしは白くなるかもしれない。 >わたしは黒くある。それでよろしい。 自己完結がほんの少し前の自分を微妙な加減で否定していく。 でもこんなもんかもしれない。現実における伏線なんて、だいたいはこじつけだ。だから些細なことでも運命だ奇跡だと言ってしまいたくなるのだ。 風邪。なんだろう。単なる風邪とはいえ、病気になるということは実に現実的で、奇跡のような伏線だらけの創作の世界では、逆に我に返るかのような表現に思えてくる。
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