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リタルダンド
夏空より始まった貴方との逸話 他の誰でもない蠱惑的な貴方との初恋 ふいに日差しの眩さに眼が潤んで 木漏れ日の隙間から吹き荒れる風に まだ幼気であろう愛故に涙一滴 そして男女の幸福論に 冷めた一興を催して そこにいる誰かの為に ただただ敬愛の意を込めた いつかの両の手から零れた柔い優しさは どこか脆くて永続性に欠けていたと云うのに いつかの通り雨で湿気た路地裏の臭気は どこか貴方がいつも吸う煙草の香りに似ていたと云うのに 「あの向日葵の様だね、君の笑顔は…」 ただ、呟く様にいじらしそうに笑う ただ、愛撫するように私の純心を嬲る 淫靡な煙が漂い、曲線を描いて 私の髪に頬に身体に、纏わりつく 一人過ごす夜ですら 私は貴方からの移り香に抱かれていたの 「キリストだって愛の種類は八つもあるっていうのに、ねぇ貴方…」 喘ぎ喘ぎ下世話な言い訳を唱えてしまった 逸話は音すら立てず 灼ける様に暑い季節と共に 帳を下した 思い返せば、恋や愛なんて もっと言ってしまえば 人生そのものが 一瞬の出来事の連続に過ぎないのだから 無論、彼との思い出も 一時の熱に浮かされた 虚実に近い様な、夢物語であったに違いない 貴方と遠く離れ、失った体温に憂いて その全てを 忘れるよう努めては、女である心身が疼き そして、痛む それすらも、滑稽な通過儀礼であろう 強かさを誇示する為の合理性に満ちた話 でも最後、一つ弱音を吐露させて欲しい 身がよじれる思いで私は口唇を震わす 『あれから幾何か時を経ても、私… そこはかとなく、視えぬ「愛の本質」に縋って ただ日々、すべてが過ぎ去ることを祈っては 気が付くと、思考を巡らせて嘆いているわ もう 素直に言わせて、ただ寂しいの。』 『リタルダンド』 …緩やかに朽ちてゆく愛の象徴 どうやら世論も 過去の彼らも 性愛の叡智なんて、端から興味が無いらしくって。
リタルダンド ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 574.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-07-06
コメント日時 2023-07-16
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
だんだん遅く。 クラシック音楽などで使われる「ritardando(リタルダンド)」は、速度記号の中の1つです。 イタリア語でだんだん遅く。 ふーんって思った。 なんかビーレビで投稿される詩っぽく無い気がしました。 色気?むわんって感じがする 薄っぺらいようなねっとりしているような、昨日の昼頃にこの作品を読んだ時はちょっとうけつけ無かったんだけど今日、改めて読むと普通に良い? まだは行かないけど普通に読めたな 男女のこんなやり取りをかけるので恐らく年齢的に高い方、経験値が高い方だとは思うけど、ビーレビにはウケが良くなかったのかな、なんか違うモチーフだと刺さる可能性はあるとは思うのですが。 まあ、次回作に期待しますと言う感想です 海軍 少佐
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