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梅雨前線
一、 雨の音を聴きながら言葉を理解しようとしていると ひときわ大きな滴が落ちて 読み解こうとしていた部分が欠けて溶けた ──そこかしこの雨樋から垂れている水の音が、カップからこぼれ続けるお茶のようだ、花瓶から捨て続ける濯ぎ水のようだ 一、 名もない雨がまた降っている 耳朶に届く花束 一、 ベネツィアングラスと水滴 君、古い傷痕と ページを捲るとき聴こえる白い笑い 一、 絶望して海の中に沈んだ月をサーチライトで思い出させてやる 幾千のナイフがきらめいて 月日を燃やしている 夢から孵化したあなたがインスタントラーメンを食べている夢 目の中に飼っていた水が次々に柵を抜け出してゆく
梅雨前線 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 607.0
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 42
作成日時 2023-07-06
コメント日時 2023-07-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 7 | 7 |
前衛性 | 4 | 4 |
可読性 | 7 | 7 |
エンタメ | 7 | 7 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 6 | 6 |
構成 | 6 | 6 |
総合ポイント | 42 | 42 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3.5 | 3.5 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 3.5 | 3.5 |
エンタメ | 3.5 | 3.5 |
技巧 | 2.5 | 2.5 |
音韻 | 3 | 3 |
構成 | 3 | 3 |
総合 | 21 | 21 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
こんにちは。 何と言いますか、詩作メモのような詩ですね。 雨音から詩句のインスピレーションを得る方なのでしょうか。 そのような詩作の過程を、ふと客観的に観ることがあり、試しにそれを詩に書いてみた、そのような印象を受けました。 書かれている詩句のひとつひとつはとても美しく、私の今後の詩作に良い刺激となりました。ありがとうございました。
1水を涙の比喩と当て込んで拝見しました。雨に呼び覚まされた古傷の痛みが多角的に描写され、カタルシスとストレスが絶妙に入り混じって、すばらしく詩的です。前半2段は理窟ぬきで美しく、4段は文字通り起承転結な聯想がおみごと。「幾千のナイフ」など一見陳腐な表現も、飛躍をあざやかに見せるのに奏功しています。そこはかとなく漂う自傷の匂いも、個人的にはこの作品にふさわしい含みだと思います。失恋か死別の抒情と思って読むと伝わりがよいけれども、ごく個人的には、もっと根本的な孤独を感受しました。以上、わたしはテクスト至上主義者で、作者の意図を一顧だにしません。
2事情があり現在コメントできません。せっかくコメントいただいて……すみません。ありがとうございます。
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