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新しい骨を寿ぐ
新しい骨を寿ぐ 誰かを愛することは難しい 線路に沿って歩くと、いつものカレー屋が細かく振動していた。スープカレーを煮込みすぎたに違いない。仕方なく海の方へと足を向け、緑色の猫を踏んづけないよう気をつけながらジャンプした。 空中に浮遊したまま、目を閉じ、耳を塞いでみる そのとき、わたしはわたしを認識できるだろうか 世界は巨大な砂糖水である。悪魔は不完全さへの希求から、自らの永遠性を破棄したいと思っている。甘く融解する世界と存在のなかで、わたしは名指されない永遠性と溶け合う。アイスクリームとチョコレートは甘く溶け合って相似である。 混沌と揺れる大きな海をかけ混ぜると、奥のほうが固まってくる。少しずつ、崩れないようにその塊を育ててみる。それは、やがて大きな柱になった。 そうしてできた、新しい骨を寿ぐ 誰かを愛することは難しい なぜなら、その誰かもまたわたしであるから
新しい骨を寿ぐ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 579.2
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-06-23
コメント日時 2023-06-23
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
外の世界を内面に取り込むということ、取り込むというと能動的な感じだけれど、融解する状態というのが言い当てている。金属は高熱で溶融する。溶融された金属が一つの容器にあるとしてその容器の上部を解析しても容器の底のあたりを解析してもどこをどれぐらいの量であってもその金属の組成は100%変わらない。水質の物体のように比重や組成分の性質によって解析するサンプルにばらつきが起きることはない。アイスクリームとチョコレートは水質に近くて、融解にはきっとばらつきが出る。人間の内面と同じように。
0『新しい骨を寿ぐ』まずこのタイトルが良い。愛と掛け合わされ連想を急がせる生命の痕跡が、言葉通りでは見つけづらく、 だからこそ >空中に浮遊したまま、目を閉じ、耳を塞いでみる/そのとき、わたしはわたしを認識できるだろうか に続かせる、 とても興味を引く。 そうすると、一人、しっかりとした姿かたちを見せながらも、それを翻弄するように言葉の数々が 砂糖や悪魔融解や永遠性といったかたちで、小難しく置かれ、アイスとチョコは甘く溶け合って相似と括る。 骨とは動物だけではなく、骨格や硬い意思といった芯を、しかし末、やはり決断に至ったのかなとも思え、 これらから祝いであることがわかる。 もしこの詩がそういうことを書いていなくても私は受け取りました。よいものを読んだと思う。ありがとうございます。
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