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ビバ、先週の衝動買い。 バイバイ、余裕。 こんにちは、心の安寧。
先日釣りに行ったお知り合いが連れ立って買い物に行くと言う。なるほどと思い、同行させてもらう。モンベルに行き、美味しい炭酸水とZERO POINTの旧ロゴTシャツを買う。次は釣具屋に行くらしい。市内釣具店は先日の釣行前に何件か連れて行ってもらったが全くときめかない。わざわざ隣町まで行くらしい。世の中には物好きもいるものだ。1人は20年ほどバス釣りをやっているとのこと。欲しいという竿を見せてもらう。SHIMANOと書かれた立派なウレタンケース付き、ラメで虹色に着色されたカーボン製。何もときめかない。ゴルフショップで「ドライバーの新作」を眺めるのに気持ちは酷似している。聞くとゴルフとバス釣りは進化の過程が非常に似ているらしい。アメリカでの普及もほぼ時を同じくしていると思う。昔の竿は木製、一時鉄製になりグラスファイバー、カーボンと進化してきたとのこと。棚の左端に目をやると古めかしいグラスファイバーのロッドが目に入った。茶色い。いいじゃないか。聞けば1970年位からモデル名を変えず、作り続けられている日本製だとのこと。いいじゃないか。リールも見せてもらう。大きな棚にプラスチックやチタンや軽量だ釣れるだのと書かれたリールが並ぶ。これでもかと施された変な模様。全くときめかない。ふと棚の左端にあるメタルリールが目に留まる。スウェーデン王室のワラントが黒いボディーに光る。重そうだ。聞けばさっきのような古めかしい竿に付けて物好きなおじさん達が応用の効かない釣り方をするのに使うらしい。いいじゃないか。投げるルアーは昔からあるものがプラスチック製に姿を変え、今も作られているらしい。古いものは木製で高価な上、着水と同時に壊れたりするらしい。いいじゃないか。ルアーを見る。やはりと言うか何と言うか案の定、旧ロゴに惹かれる。糸を見る。昔は絹や木綿にグリスを塗って水に浮かせたらしい。放っておくと黴が生えるとのこと。いいじゃないか。帰りに大型スポーツ用品店でキャンプ用品と野球用具を見る。相変わらず木製バットや復刻品のマルチツールばかりを見ている。先ほど見た釣具が頭から離れない。頭の中では奥田民生さんが歌う「手引きのようなもの」がずっと鳴っている。そういえばこの歌は井上陽水さんと一緒に作ったそうだ。陽水さんのねっとりとした歌い方を思い出しながら家路につく。帰り着き、遅くなったことを苛烈に抗議する猫の世話を終え、棚から「手引きのようなもの」を引っ張り出して聴く。この曲を十八番にカラオケに興じた学生時代を思い返しながら酒を飲む。ゴルフ雑誌、Choiceにあった赤星鉄馬さんの記事を拾い読みする。鉄馬さんは日本ゴルフ史の草分け、赤星六郎さんのお兄さん。この方が日本にバスフィッシングを持ち込んだとのこと。ゴルフクラブを取りに行く。ヒッコリーや60年代のスチールシャフトを引っ張り出してあれやこれやと眺める。似ている。さっき釣具屋で見た道具に。あれなら愛せそうだ。というかもう惚れている。グラスファイバーのぐにゃぐにゃした動き。アルミの光るハンドルやコルクの柔らかい感触、黄変したパッケージと赤いロゴの記憶が蘇る。もう無理だ。ということでそれらの道具は今、私の家にあります。 BGMは是非、井上陽水さんの歌う「手引きのようなもの」でお願いします。
ビバ、先週の衝動買い。 バイバイ、余裕。 こんにちは、心の安寧。 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1010.2
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2023-05-15
コメント日時 2023-05-20
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
感想です。たぶん、私の分野(謎)ですね。町田康さんの文体のリズムを感じます。 かずやさんは町田康さんであったのでしょうか(謎ボール)。 私も情報量の多い作品を書いたことがあるのですが、これは詩ではないと言われ泣きました。 だから応援させて下さい。単純、面白いです。一票です。
1コメント、本当にありがとうございます。素直にとても嬉しいです。 確かにこれは詩ではなく非文学的なルポルタージュかも知れません。 古いスタイルのバスフィッシング、その魅力に急速に獲りつかれ自分の内からあふれ出る余りの情熱にいてもたってもいられず書いた次第です。 誰かに刺さってくれたらいいなあと思ってじっと待っておりました。 私はもちろん町田康さんではないですが町田康さんは大好きで学生時代によく読んでおりました。 書いていて「何か気持ちいいなあ。」と思っていたのですが、きっと田中恭平 newさんと町田康さんが下りてきていてくれたのかも知れないです笑。
1あっ。これは、よっぽど好きでないと書けないですね。 そのパソコンの前に座って、詩?クリエイティブライティングを読んで 「面白くて、笑う」、意外な、この体験が、自分にとって貴重でして こちらも感謝しかないです。ありがとうございました。
1こういうことがあるから皆さんB-REVIEWが大好きなのでしょうね。 やっと分かった気がします笑。 本当にありがとうございました。
1この作品は、釣りなんですよね。文体が釣りをやってる時、そのものなんですよね。これ、釣りをやったことある人はわかると思うんですよね。ちなみに三浦は福岡市西区の小戸ヨットハーバーで育ったんで幼少期は釣り大好きでした。でも大人になったらやらなくなってですね、中国蘇州で接待の釣りを三年前にやったんですけど、ほんとにつまらなかった。ぼうっと、ずっと、手引きのようなものを頭で鳴らしていた感じ。でもさ、帰国したら釣竿店に足を運んだんだよなあ。
2コメントありがとうございます。「文体が釣りをやってる時、そのもの」というお言葉、とても嬉しいです。どちらかというと「自分が釣られた」その有り様をただただ書きなぐっているだけという気も致します笑。蘇州で釣りをするなんて羨ましいです。しかしながら釣りもゴルフと同じく「誰と行くか」がとても大事ですよね。自分のようなオタクは「何を使うか」もとても大きな問題だったりします。
0遅くなりましたが、コメントありがとうございます。この作品を散文詩と言うには何となく気が引けますが、書きたいことは解りました。これをぎゅっと凝縮すると詩に昇華します。ただし、詩は言いたくとも言い切れない言葉を何とか表現するものと私は思っています。つまり、解らないと言うのが詩の一つの特徴と思い込んでいるのです。ですので、この作品のようにとても素直な文章を書くかずやさまは詩を書くのに苦労すると想像されますが、是非、挑戦してください。
2コメントありがとうございます。 何と言うか、ある感覚を詩の体裁にするためには一度自分の体を通しきらないといけないのだろうなあと思います。 その土地に住みつかないとその場所での釣りができないのと同じように、抱いた感覚を消化ではなく昇華させる時間が必要なのでしょうね。
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